慣用句一覧
日常会話で使われる慣用的な表現。50音順に収録しています。
揚げ足を取る
あげあしをとる
相手の言葉の些細なミスや言い間違いをとらえて、意地悪く責めたり批判したりすること。議論や会話の本質ではなく、言葉のあら探しに終始する行為を指す。「揚げ足」とは相手が失敗の隙をさらした瞬間を指し、それを巧みに捕まえて攻め込む様子を表す慣用句。建設的な議論を阻む、批判的なコミュニケーションの典型として否定的に使われることが多い。
足元を見る
あしもとをみる
相手の弱みや不利な立場につけ込んで、不当に有利な条件を押し付けること。相手の苦境や困り度合いを見透かして、値段や条件を吊り上げる行為を指す。「足元」とは比喩的に「相手が置かれた立場・状況の底辺」を意味し、そこを見透かして有利に動く様子を表している。駕籠かきが旅人の疲れ具合を見て料金を吊り上げた江戸時代の商習慣に由来する。
足を引っ張る
あしをひっぱる
他人の仕事や努力を妨害したり、成功を阻んだりすること。チームや組織全体の前進を遅らせる邪魔な行為を指す。嫉妬や競争心から、前進しようとしている人を意図的に引き止めようとする様子を表す言葉。意図的な妨害のみならず、結果として足かせになってしまう状況にも使われる。一人の行動が集団全体の動きを鈍らせる場面で特に使われる表現。
頭が下がる
あたまがさがる
相手の行いや人柄に対して深く感心し、心から尊敬の念を抱くこと。思わず頭を下げるほどの感動と敬意を感じる様子を表す言葉。特に、長年の献身的な努力や無私の奉仕、困難な状況での毅然とした姿勢に触れたときに使われる表現。単なる「尊敬する」よりも強い感情的な感銘を含み、体が自然に反応してしまうほどの感動のニュアンスがある。
頭を抱える
あたまをかかえる
難しい問題や困った状況に直面して、どうすればよいかわからず深く悩むこと。文字どおり両手で頭を抱えるような、深刻な困惑・行き詰まりの状態を表す言葉。解決策が見つからない焦りや絶望感を身体動作に例えた表現で、仕事・家庭・人間関係などあらゆる困難な場面に幅広く使われる。英語の「at one's wit's end(万策尽きた)」に対応する表現。
息を呑む
いきをのむ
驚きや緊張、感動で思わず息を止めてしまうこと。美しいものや衝撃的な場面に出会い、一瞬呼吸が止まるほどの強い感情を受けた様子を表す言葉。良い意味(絶景や感動的な演技)にも悪い意味(衝撃的な知らせ)にも使える表現。「呑む」が「飲み込む・中に収める」を意味し、息を一瞬飲み込んで止める身体感覚を言語化したもの。英語の「hold one's breath」や「take one's breath away」に対応する。
腕が鳴る
うでがなる
自分の実力を試したくてうずうずすること。力を発揮したくてたまらないこと。
腕を振るう
うでをふるう
技量を十分に発揮すること。得意な技術を存分に見せること。
顔が広い
かおがひろい
多方面に知り合いや人脈が多く、社会的なコネクションが豊富であること。さまざまな業界や分野に顔がきく人物を表す言葉。「顔」が日本語で「社会的な認知・存在感」を意味することから、その顔が「広い」ことで多くの人間関係を持っていることを表す。日本のビジネス文化では人脈が仕事の機会を左右することも多く、「顔が広い」人は頼りになる存在として評価される。「顔が売れる」が不特定多数への知名度を指すのとは異なる。
肩身が狭い
かたみがせまい
周囲に対して引け目を感じ、居心地が悪いこと。面目が立たないこと。
肩を持つ
かたをもつ
一方の味方をすること。ひいきにすること。
気が置けない
きがおけない
遠慮や気遣いが不要で、打ち解けられる間柄であること。一緒にいて気を遣わなくてよい、心から安心できる相手を指す肯定的な表現。「気が置けない友人」といえば、気心が知れた親しい友人という意味になる。ただし、「気を遣わせて申し訳ない」「なんとなく信用できない」などの否定的な意味で誤用される例が非常に多く、文化庁の調査では約半数が誤った意味で使っているとされる。誤解が生じやすいため、使う場面では文脈を補うか、言い換えを検討するのが無難。
気が気でない
きがきでない
心配で落ち着かないこと。気になって仕方がないこと。
口が堅い
くちがかたい
秘密をよく守り、余計なことを言わないこと。
口が軽い
くちがかるい
秘密を守れず、すぐにしゃべってしまうこと。
口が滑る
くちがすべる
言うつもりのなかったことをうっかり言ってしまうこと。
首を長くする
くびをながくする
待ち遠しくて待ちわびること。期待して心待ちにすること。
腰を据える
こしをすえる
落ち着いてじっくり物事に取り組むこと。本腰を入れること。
尻に火がつく
しりにひがつく
事態が切迫して、のんびりしていられなくなること。
切羽詰まる
せっぱつまる
事態が差し迫って、どうにもならなくなること。追い詰められること。
手に汗を握る
てにあせをにぎる
緊張や興奮で手に汗をかくこと。はらはらすること。
手を尽くす
てをつくす
あらゆる手段を試みること。できることを全てやること。
手を抜く
てをぬく
いい加減にやること。本来やるべき手順や努力を省略すること。
度肝を抜く
どぎもをぬく
相手を極度に驚かせること、また非常に強い驚きを受けること。予想をはるかに超えた衝撃・迫力・パフォーマンスに出会い、圧倒されるほどの驚きを表す強烈な慣用表現。良い意味(感動的な演技や美しい景色)にも悪い意味(衝撃的なニュースや突然の出来事)にも使われる。「驚く」という言葉の中でも特に強烈な驚きを指す場面で用いられる。
音を上げる
ねをあげる
苦しさに耐えきれず弱音を吐くこと。降参すること。
喉から手が出る
のどからてがでる
欲しくてたまらないこと。非常に欲しがる様子。
鼻が高い
はながたかい
誇りに思うこと、自慢に思うこと。特に、自分の身内や親しい人の成果・成功を誇りに思う場合によく使う表現。自慢げな様子や得意顔を表す言葉でもあり、正当な誇りや名誉感を示す場合に使われる。否定的なニュアンスは薄く、他者の活躍を自分のことのように誇らしく感じる場面で多く用いられる。英語の「to hold one's head high」や「to be proud」に対応する慣用句。
鼻を折る
はなをおる
得意になっている人や傲慢な人の自尊心を打ち砕き、高飛車な態度を矯正すること。驕り高ぶった者を一撃で謙虚にさせる行為を指す表現。「鼻」が自尊心・誇りの象徴であることから、その鼻を「折る」ことで相手の驕りや慢心を打ち砕くイメージ。英語の「to take someone down a peg or two(上から引きずりおろす)」に対応する。「鼻が高い」と対照的な関係にある慣用句。
歯に衣着せぬ
はにきぬきせぬ
相手への遠慮や気遣いをせず、思ったことをそのまま率直に言うこと。相手が聞いて不快に感じることも、ためらわずに直接言う様子を表す。率直さが美徳として機能する文脈では褒め言葉として使われ、無遠慮さや失礼さを指摘する文脈では否定的な意味合いを帯びる。日本文化特有の「建前と本音」の二重構造の中で、本音を包まずに直接言う行為を際立たせる表現でもある。
腹に一物ある
はらにいちもつある
表面には出さないが、心の中に何か良からぬ考えや企みを隠していること。うわべは平静に見えても、内心では腹黒い意図が潜んでいることを指す表現。相手の真意が読めない場面や、表向きは友好的でも内心に策略を持つ人物を評する際に使われる批判的な言葉。「腹」が日本語で「本心・本音」を象徴する言葉であることに由来し、「腹を割って話す」とは対照的な状態を表す。
腹をくくる
はらをくくる
どのような結果になっても受け入れる覚悟を決め、思い切った行動に出る心境になること。覚悟を固め、逃げずに立ち向かう決意を表す言葉。不安や恐れを乗り越えて、開き直りを含む強い決断を示す表現。武士が腹帯を締めて臨戦態勢を整えたイメージが語源とされ、腹(本心・覚悟の座)をひとつに固めることを指す。「腹を割って話す」「腹に一物ある」と合わせて「腹の慣用句」の代表格のひとつ。
腹を割って話す
はらをわってはなす
本音・本心を包み隠さず、率直に打ち明けて話し合うこと。建前や遠慮をなくして、本当の気持ちや考えをさらけ出した対話を指す。深い信頼関係があるときや、問題解決のために本音の対話が必要な場面で使う表現。日本文化における「建前と本音」の二重構造の中で、本音を切り開いて対話する特別な場を指す言葉。「腹に一物ある」(本音を隠す)とは対照的な状態を表す慣用句。
へそを曲げる
へそをまげる
機嫌を損ねて意地を張ること。些細なことで不機嫌になり、素直でなくなる様子を表す言葉。子どもっぽい反応や、些細な怒りから意固地になる態度を批判的あるいはやや滑稽に指す場合が多い。「へそ」が体の中心(物事の核心)の象徴として使われることから、その中心が歪む(曲がる)ことで態度や気持ちが素直でなくなる状態を表す。大人に対して使うときにはやや批判的なニュアンスが伴う。
骨が折れる
ほねがおれる
物事が非常に難しく、多大な苦労・努力・手間がかかること。骨折するほどの過酷さで取り組まなければならない、困難な作業や状況を指す言葉。「骨を折る」(誰かのために尽力する)という能動的表現と対になる受け身の表現で、作業・状況そのものの困難さを客観的に描写する場合に使われる。「骨を折る」が他者への献身を指すのに対し、「骨が折れる」は物事の大変さ自体を描写する点が異なる。
骨を折る
ほねをおる
他人や物事のために、多大な苦労や努力を惜しまないこと。特に、誰かの役に立つために自分を犠牲にして骨身を惜しまず尽くす行為を指す。感謝の文脈で「骨を折ってくれた」のように使われることが多い能動的な表現。「骨が折れる」(その作業が大変だという状況描写)と対になる関係にあり、主体が誰かのために積極的に苦労するという意志的な行為を示す点で区別される。
水に流す
みずにながす
過去のいざこざや恨みをなかったことにすること。許すこと。
水を差す
みずをさす
うまくいっている物事や盛り上がっている雰囲気を邪魔すること。
耳にタコができる
みみにたこができる
同じことを何度も聞かされてうんざりすること。
耳を傾ける
みみをかたむける
熱心に聞くこと。注意深く話に聞き入ること。
胸を撫で下ろす
むねをなでおろす
心配していたことが解決して安心すること。ほっとすること。危険や困難が去って、緊張がほぐれた瞬間の安堵感を表す。試験の合格、病気の快復、事故の回避など、心配事が無事に解決したときに使う表現。「胸をなでおろした」と過去形でよく使われる。危険が完全に去ったことを確認してから使う表現なので、まだ不安が残る状況には使わない。
胸を張る
むねをはる
自信を持って堂々とすること。誇りを持つこと。
目から鱗が落ちる
めからうろこがおちる
あることがきっかけで急に物事の真相や本質が理解できるようになること。今まで見えなかった真実が突然明らかになる体験を指す。何かを教わったり気づかされたりして、それまでの思い込みや誤解が一気に解けた瞬間に使う表現。「目から鱗が落ちた」と過去形でも使われる。単に「知識を得た」だけでなく、視野や認識が根本から変わったような発見の感覚が含まれる。
目がない
めがない
そのものが大好きで夢中であること。好きでたまらないこと。
目くじらを立てる
めくじらをたてる
些細なことをとがめ立てすること。小さな欠点を大げさに責めること。
目をつぶる
めをつぶる
見て見ぬふりをすること。欠点や過ちを大目に見ること。
横槍を入れる
よこやりをいれる
第三者が横から口を出して邪魔すること。他人の話や仕事に割り込むこと。