言葉辞典
慣用句

慣用句一覧

日常会話で使われる慣用的な表現。50音順に収録しています。

慣用句

相槌を打つ

あいづちをうつ

相手の話に調子を合わせて、うなずきや短い返事などで受け答えをすること。相手の話を聞いていることを示す場面で用いるが、相槌を打つこと自体が全面的な賛成を意味するわけではない。会話の流れに応じた反応であり、相手の言葉をそのまま自分の意見として引き受けることとは区別する。『相槌を入れる』ではなく『相槌を打つ』という形で用いる。

慣用句

揚げ足を取る

あげあしをとる

相手の言い間違い、言葉尻、表現上の小さな不備だけを取り上げ、主張の筋とは別の所で責めたりからかったりすること。否定的な評価を伴う慣用句で、相手の誤りを正確に直すことすべてを指すわけではない。たとえば数字の桁違いが結論を変えるなら、それは必要な訂正であって「揚げ足を取る」ではない。論点に関わらない一語だけを何度も責め、相手を言い負かすことが目的になったときに使う。会議や文章の検討では、「表現より結論の根拠を確認しよう」と本筋へ戻す言い方を選ぶと、揚げ足取りになりにくい。

慣用句

足元を見る

あしもとをみる

相手の弱みや不利な立場につけ込んで、不当に有利な条件を押し付けること。相手の苦境や困り度合いを見透かして、値段や条件を吊り上げる行為を指す。「足元」とは比喩的に「相手が置かれた立場・状況の底辺」を意味し、そこを見透かして有利に動く様子を表している。江戸前期の浮世草子にすでに用例があり、18世紀初めの浄瑠璃では値の駆け引きの場面に使われている。

慣用句

足を引っ張る

あしをひっぱる

他人の仕事や努力を妨害したり、成功を阻んだりすること。チームや組織全体の前進を遅らせる邪魔な行為を指す。嫉妬や競争心から、前進しようとしている人を意図的に引き止めようとする様子を表す言葉。意図的な妨害のみならず、結果として足かせになってしまう状況にも使われる。一人の行動が集団全体の動きを鈍らせる場面で特に使われる表現。

慣用句

頭が下がる

あたまがさがる

相手の行いや人柄に対して深く感心し、心から尊敬の念を抱くこと。思わず頭を下げるほどの感動と敬意を感じる様子を表す言葉。特に、長年の献身的な努力や無私の奉仕、困難な状況での毅然とした姿勢に触れたときに使われる表現。単なる「尊敬する」よりも強い感情的な感銘を含み、体が自然に反応してしまうほどの感動のニュアンスがある。

慣用句

頭を抱える

あたまをかかえる

難しい問題や困った状況に直面して、どうすればよいかわからず深く悩むこと。文字どおり両手で頭を抱えるような、深刻な困惑・行き詰まりの状態を表す言葉。解決策が見つからない焦りや絶望感を身体動作に例えた表現で、仕事・家庭・人間関係などあらゆる困難な場面に幅広く使われる。英語の「at one's wit's end(万策尽きた)」に対応する表現。

慣用句

息を呑む

いきをのむ

驚きや緊張、感動で思わず息を止めてしまうこと。美しいものや衝撃的な場面に出会い、一瞬呼吸が止まるほどの強い感情を受けた様子を表す言葉。良い意味(絶景や感動的な演技)にも悪い意味(衝撃的な知らせ)にも使える表現。「呑む」が「飲み込む・中に収める」を意味し、息を一瞬飲み込んで止める身体感覚を言語化したもの。英語の「hold one's breath」や「take one's breath away」に対応する。

慣用句

至れり尽くせり

いたれりつくせり

相手への配慮が隅々まで行き届き、足りない点が見当たらないこと。宿泊、接待、案内、支援などを褒めるときに使う。品物や設備が多いだけでなく、受け手に必要なことが不足なく整っている、という評価を含む。この辞典での使い分けでは、気づきにくい要望まで満たす働きを強く言うなら「痒い所に手が届く」、説明や応対の親切さに焦点を置くなら「懇切丁寧」が近い。豪華さだけを理由に使うと、配慮という中心がぼやける。表記は「至れり尽くせり」であり、「至り尽くせり」ではない。

慣用句

言わずもがな

いわずもがな

「言わずもがな」は、言う必要がないほど明らかなこと。また、かえって口に出さないほうがよいことを指す。「彼の経験は言わずもがな」なら当然の前提として添えるが、「言わずもがなの一言」なら余計な発言の意味だ。「言うまでもない」は前者に限られ、「言わぬが花」は後者の沈黙をよしとする。迷ったら、文の後ろに「もちろん」が入るか、「言わなければよかった」が入るかで二つの用法を読み分ける。

慣用句

腕が鳴る

うでがなる

自分の実力を試したくてうずうずすること。力を発揮したくてたまらないこと。

慣用句

腕を振るう

うでをふるう

技量を十分に発揮すること。得意な技術を存分に見せること。

慣用句

顔が広い

かおがひろい

知り合いが多く、交際範囲が広いこと。さまざまな人とつきあいのある人についていう。

慣用句

肩身が狭い

かたみがせまい

周囲に対して引け目を感じ、居心地が悪いこと。面目が立たないこと。

慣用句

肩を持つ

かたをもつ

一方の味方をすること。ひいきにすること。

慣用句

堪忍袋の緒が切れる

かんにんぶくろのおがきれる

我慢を重ねてきた人が、もうこれ以上こらえられず、怒りを表に出すこと。堪忍をためた袋の口を結ぶ緒が切れるという比喩で、限界を越えた瞬間を言う。「目くじらを立てる」は他人の小さな欠点を探して責める行為、「逆鱗に触れる」は本来は目上の怒りを買う語だが、現在は相手をひどく怒らせる意味にも広がった。こちらは怒る側がどれだけ耐え、ついに我慢できなくなったかに焦点がある。

慣用句

気が置けない

きがおけない

遠慮や気遣いが不要で、打ち解けられる間柄であること。一緒にいて気を遣わなくてよい、心から安心できる相手を指す肯定的な表現。「気が置けない友人」といえば、気心が知れた親しい友人という意味になる。ただし、「気を遣わせて申し訳ない」「なんとなく信用できない」などの否定的な意味で誤用される例が非常に多く、文化庁の調査では約半数が誤った意味で使っているとされる。誤解が生じやすいため、使う場面では文脈を補うか、言い換えを検討するのが無難。

慣用句

気が気でない

きがきでない

心配で落ち着かないこと。気になって仕方がないこと。

慣用句

口が堅い

くちがかたい

秘密をよく守り、余計なことを言わないこと。

慣用句

口が軽い

くちがかるい

秘密を守れず、すぐにしゃべってしまうこと。

慣用句

口が滑る

くちがすべる

言うつもりのなかったことをうっかり言ってしまうこと。

慣用句

首を長くする

くびをながくする

待ち遠しくて待ちわびること。期待して心待ちにすること。

慣用句

腰を据える

こしをすえる

落ち着いてじっくり物事に取り組むこと。本腰を入れること。

慣用句

尻に火がつく

しりにひがつく

事態が切迫して、のんびりしていられなくなること。

慣用句

切羽詰まる

せっぱつまる

事態が差し迫って、どうにもならなくなること。追い詰められること。

慣用句

手に汗を握る

てにあせをにぎる

緊張や興奮で手に汗をかくこと。はらはらすること。

慣用句

手を尽くす

てをつくす

あらゆる手段を試みること。できることを全てやること。

慣用句

手を抜く

てをぬく

いい加減にやること。本来やるべき手順や努力を省略すること。

慣用句

度肝を抜く

どぎもをぬく

相手を極度に驚かせること、また非常に強い驚きを受けること。予想をはるかに超えた衝撃・迫力・パフォーマンスに出会い、圧倒されるほどの驚きを表す強烈な慣用表現。良い意味(感動的な演技や美しい景色)にも悪い意味(衝撃的なニュースや突然の出来事)にも使われる。「驚く」という言葉の中でも特に強烈な驚きを指す場面で用いられる。

慣用句

二の足を踏む

にのあしをふむ

やろうと決めた計画でも、実際に始める段になると迷い、判断や着手を先送りすること。準備や話し合いが進んでいても、失敗への不安、責任、周囲への影響などが気になり、次の行動を選べない場面に使う。迷う理由は一つに限らず、結局やめたとまでは意味しない。「優柔不断」が決断しにくい性質を指すのに対し、「二の足を踏む」は特定の計画や行動に踏み切れない局面を描く。

慣用句

音を上げる

ねをあげる

苦しさに耐えきれず弱音を吐くこと。降参すること。

慣用句

喉から手が出る

のどからてがでる

欲しくてたまらないこと。手に入れたい気持ちを抑えきれず、体のほうが先に動き出しそうなほど強い欲求を表す。品物だけでなく、人材・情報・時間など形のないものにも使う。「喉から手が出るほど」の形で程度を強める使い方が大半で、「喉から手が出た」と言い切る形はまず使わない。欲しがっている当人の切実さを言う言葉なので、他人の欲を責める場面には向かない。

慣用句

鼻が高い

はながたかい

誇らしい、得意だという気持ちを表す言い方。精選版日本国語大辞典は「得意なさま」「誇らしい」と並べて「自慢らしい」も語釈に挙げており、自慢げに響く含みが消えない語でもある。辞書が引く古い用例は自分自身が得意になる場面のものだが、身内や教え子、母校といった近しい相手の成果を我がことのように喜ぶ場面でも使う。自分のことに使うか身内のことに使うかで受け取られ方が変わる語なので、そこは意識して選びたい。顔立ちをいう「鼻が高い」は別の語義で、辞書も分けて立てている。

慣用句

鼻を折る

はなをおる

得意になっている人や傲慢な人の自尊心を打ち砕き、高飛車な態度を矯正すること。驕り高ぶった者を一撃で謙虚にさせる行為を指す表現。「鼻」が自尊心・誇りの象徴であることから、その鼻を「折る」ことで相手の驕りや慢心を打ち砕くイメージ。英語の「to take someone down a peg or two(上から引きずりおろす)」に対応する。「鼻が高い」と対照的な関係にある慣用句。

慣用句

歯に衣着せぬ

はにきぬきせぬ

相手への遠慮や気遣いをせず、思ったことをそのまま率直に言うこと。相手が聞いて不快に感じることも、ためらわずに直接言う様子を表す。率直さが美徳として機能する文脈では褒め言葉として使われ、無遠慮さや失礼さを指摘する文脈では否定的な意味合いを帯びる。「衣」は絹ではなく衣服の「きぬ」を指し、「歯に絹着せぬ」と書くのは誤記とされる。

慣用句

腹に一物ある

はらにいちもつある

表面には出さないが、心の中に何か良からぬ考えや企みを隠していること。うわべは平静に見えても、内心では腹黒い意図が潜んでいることを指す表現。相手の真意が読めない場面や、表向きは友好的でも内心に策略を持つ人物を評する際に使われる批判的な言葉。「腹」が日本語で「本心・本音」を象徴する言葉であることに由来し、「腹を割って話す」とは対照的な状態を表す。

慣用句

腹をくくる

はらをくくる

どのような結果になっても受け入れる覚悟を決め、思い切った行動に出る心境になること。『デジタル大辞泉』は覚悟を決める・決意を固める意とし、『精選版 日本国語大辞典』は「どんな結果になってもたじろがないように意を決する」と語釈する。うまくいかなかった場合の損まで引き受けたうえで前に出る、という重さがこの語にはある。辞典が類語として並べる「腹を決める」「腹を据える」「腹を固める」はほぼ同義で、言い換えが利く。

慣用句

腹を割って話す

はらをわってはなす

本心を包み隠さず打ち明けて話し合うこと。辞書の見出しは「腹を割る」で、精選版日本国語大辞典はこれを「本心をうちあける。包み隠さずすべてをさらけ出す」と説き、デジタル大辞泉は用例として「腹を割って話す」の形を挙げる。遠慮や駆け引きをやめ、考えていることをそのまま相手に見せる対話を指す。対立を収めたいとき、あるいは相手を信頼していると示したいときに使い、「腹に一物ある」状態とはちょうど正反対である。

慣用句

へそを曲げる

へそをまげる

機嫌を損ねて意地を張ること。些細なことで不機嫌になり、素直でなくなる様子を表す言葉。子どもっぽい反応や、些細な怒りから意固地になる態度を批判的あるいはやや滑稽に指す場合が多い。「へそ」が体の中心(物事の核心)の象徴として使われることから、その中心が歪む(曲がる)ことで態度や気持ちが素直でなくなる状態を表す。大人に対して使うときにはやや批判的なニュアンスが伴う。

慣用句

骨が折れる

ほねがおれる

物事が非常に難しく、多大な苦労・努力・手間がかかること。骨折するほどの過酷さで取り組まなければならない、困難な作業や状況を指す言葉。「骨を折る」(誰かのために尽力する)という能動的表現と対になる受け身の表現で、作業・状況そのものの困難さを客観的に描写する場合に使われる。「骨を折る」が他者への献身を指すのに対し、「骨が折れる」は物事の大変さ自体を描写する点が異なる。

慣用句

骨を折る

ほねをおる

他人や物事のために、多大な苦労や努力を惜しまないこと。特に、誰かの役に立つために自分を犠牲にして骨身を惜しまず尽くす行為を指す。感謝の文脈で「骨を折ってくれた」のように使われることが多い能動的な表現。「骨が折れる」(その作業が大変だという状況描写)と対になる関係にあり、主体が誰かのために積極的に苦労するという意志的な行為を示す点で区別される。

慣用句

水に流す

みずにながす

過去のいざこざや恨みをなかったことにすること。許すこと。

慣用句

水を差す

みずをさす

うまくいっている物事や盛り上がっている雰囲気を邪魔すること。

慣用句

耳にタコができる

みみにたこができる

同じことを何度も聞かされてうんざりすること。

慣用句

耳を傾ける

みみをかたむける

熱心に聞くこと。注意深く話に聞き入ること。

慣用句

胸を撫で下ろす

むねをなでおろす

心配していたことが解決して安心すること。ほっとすること。危険や困難が去って、緊張がほぐれた瞬間の安堵感を表す。試験の合格、病気の快復、事故の回避など、心配事が無事に解決したときに使う表現。「胸をなでおろした」と過去形でよく使われる。危険が完全に去ったことを確認してから使う表現なので、まだ不安が残る状況には使わない。

慣用句

胸を張る

むねをはる

自信を持って堂々とすること。誇りを持つこと。

慣用句

目がない

めがない

そのものが大好きで夢中であること。好きでたまらないこと。

慣用句

目から鱗が落ちる

めからうろこがおちる

あることがきっかけで急に物事の真相や本質が理解できるようになること。今まで見えなかった真実が突然明らかになる体験を指す。何かを教わったり気づかされたりして、それまでの思い込みや誤解が一気に解けた瞬間に使う表現。「目から鱗が落ちた」と過去形でも使われる。単に「知識を得た」だけでなく、視野や認識が根本から変わったような発見の感覚が含まれる。

慣用句

目くじらを立てる

めくじらをたてる

人の欠点や小さな誤りを探し出し、わずかな事を取り立てて強く非難すること。単に誤りを指摘したり、厳しく注意したりすること全部を指すのではない。この辞典での使い分けの目安としては、安全、金額、結論を左右する誤りを具体的に直すのは必要な訂正である。誤りの小ささに比べて、相手を責めることや粗を探すことが前へ出たときに、この慣用句が合う。言葉尻を攻めるなら「揚げ足を取る」、怒った目つきそのものなら「目を三角にする」が近い。誰かの抗議を「目くじら」と呼ぶ側にも、問題を小さく見せる働きがある。何が些細なのかを確かめて使いたい。

慣用句

目をつぶる

めをつぶる

見て見ぬふりをすること。欠点や過ちを大目に見ること。

慣用句

横槍を入れる

よこやりをいれる

第三者が横から口を出して邪魔すること。他人の話や仕事に割り込むこと。