言葉辞典
慣用句

息を呑む

いきをのむ

慣用句の意味

驚きや緊張、感動で思わず息を止めてしまうこと。美しいものや衝撃的な場面に出会い、一瞬呼吸が止まるほどの強い感情を受けた様子を表す言葉。良い意味(絶景や感動的な演技)にも悪い意味(衝撃的な知らせ)にも使える表現。「呑む」が「飲み込む・中に収める」を意味し、息を一瞬飲み込んで止める身体感覚を言語化したもの。英語の「hold one's breath」や「take one's breath away」に対応する。

言葉の成り立ち

人が強い驚きや感動を受けたとき、反射的に息を止める(呑む)という生理的な反応をそのまま言語化した表現。「息を呑む」という動作は、緊張・驚き・崇高な美しさに対する人間の本能的な反応で、どの文化にも共通する生理現象。日本語ではこの「息が止まる瞬間」を「息を呑む」と表現し、英語では「to hold one's breath」や「to take one's breath away」に対応する。「呑む(のむ)」は「飲み込む・中に収める」という意味で、「息を飲み込む=呼吸を一瞬停止させる」という身体感覚を表す。美しい景色、衝撃的なニュース、緊張する場面(試合の決定的瞬間等)のいずれにも幅広く使える表現で、「息を飲む」とも書くことがある。目撃した光景やニュースへの反応として、個人にも集団にも使われる汎用的な慣用句。

用例

  • 夕日に染まる富士山の絶景を前に、旅行者たちは思わず息を呑んだ。
  • 接戦のPK戦でゴールキーパーが飛び込む瞬間、スタジアム全体が息を呑んだ。
  • 彼女が舞台に登場した瞬間の迫力に、客席全体が息を呑む。
  • 事故の詳細を聞いて、関係者全員が息を呑んで沈黙した。
  • 展覧会で出会ったその絵の美しさに息を呑み、しばらく動けなかった。

似た慣用句

息が止まる絶句する驚愕する圧倒される

対になる慣用句

平然とする動じない泰然とする

英語表現

To hold one's breath; To be breathtaking; To gasp with amazement or admiration

使う場面

驚き感動

参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年

関連する慣用句

慣用句

度肝を抜く

どぎもをぬく

相手を極度に驚かせること、また非常に強い驚きを受けること。予想をはるかに超えた衝撃・迫力・パフォーマンスに出会い、圧倒されるほどの驚きを表す強烈な慣用表現。良い意味(感動的な演技や美しい景色)にも悪い意味(衝撃的なニュースや突然の出来事)にも使われる。「驚く」という言葉の中でも特に強烈な驚きを指す場面で用いられる。

慣用句

胸を撫で下ろす

むねをなでおろす

心配していたことが解決して安心すること。ほっとすること。危険や困難が去って、緊張がほぐれた瞬間の安堵感を表す。試験の合格、病気の快復、事故の回避など、心配事が無事に解決したときに使う表現。「胸をなでおろした」と過去形でよく使われる。危険が完全に去ったことを確認してから使う表現なので、まだ不安が残る状況には使わない。

慣用句

頭を抱える

あたまをかかえる

難しい問題や困った状況に直面して、どうすればよいかわからず深く悩むこと。文字どおり両手で頭を抱えるような、深刻な困惑・行き詰まりの状態を表す言葉。解決策が見つからない焦りや絶望感を身体動作に例えた表現で、仕事・家庭・人間関係などあらゆる困難な場面に幅広く使われる。英語の「at one's wit's end(万策尽きた)」に対応する表現。

ことわざ

羹に懲りて膾を吹く

あつものにこりてなますをふく

一度の失敗に懲りて、必要以上に用心深くなること。

慣用句

頭が下がる

あたまがさがる

相手の行いや人柄に対して深く感心し、心から尊敬の念を抱くこと。思わず頭を下げるほどの感動と敬意を感じる様子を表す言葉。特に、長年の献身的な努力や無私の奉仕、困難な状況での毅然とした姿勢に触れたときに使われる表現。単なる「尊敬する」よりも強い感情的な感銘を含み、体が自然に反応してしまうほどの感動のニュアンスがある。

慣用句

腹をくくる

はらをくくる

どのような結果になっても受け入れる覚悟を決め、思い切った行動に出る心境になること。覚悟を固め、逃げずに立ち向かう決意を表す言葉。不安や恐れを乗り越えて、開き直りを含む強い決断を示す表現。武士が腹帯を締めて臨戦態勢を整えたイメージが語源とされ、腹(本心・覚悟の座)をひとつに固めることを指す。「腹を割って話す」「腹に一物ある」と合わせて「腹の慣用句」の代表格のひとつ。

故事成語

一気呵成

いっきかせい

作業の流れを途中で切らず、ひと続きの勢いで文章や仕事を仕上げること。もともとは詩文を作り上げる場面に強く結び付くが、今は脚本、企画、改革など、まとまった仕事を完成まで進める場合にも使う。「数が一気に増える」の「一気」と同じく、ひと息にという感覚はある。しかし「一気呵成」は、量が増える自然な変化ではなく、作り手が取り組みを成し遂げる場面に選ぶ語である。急いで雑に終えることを褒める意味ではない。構想や下準備を済ませた後に執筆を一気呵成に進める、と言えば、準備から完成へ流れがつながった印象になる。単に同時に処理するなら「一斉に」、流麗に進む様子なら「一瀉千里」と使い分ける。

慣用句

手に汗を握る

てにあせをにぎる

緊張や興奮で手に汗をかくこと。はらはらすること。

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