一気呵成
いっきかせい
故事成語の意味
文章を書いたり仕事をしたりする際、途中で休まず一気にやり遂げること。物事を勢いよく一息でやり遂げることを指す。
故事の由来
中国の文章作法を語る言葉が由来とされる。「呵成」は息を吹きかけて一気に仕上げるという意味。文章をよどみなく一気に書き上げることを「一気呵成」と言った。日本では文章だけでなく、様々な仕事や行動を一気にやり遂げることにも用いられるようになった。
用例
- “締め切り前夜、一気呵成でレポートを書き上げた。”
- “最終局面は一気呵成に攻め込んで試合を決めた。”
- “一気呵成に仕上げた作品は、勢いがあって迫力がある。”
類義の故事成語
対義の故事成語
英語訳
All at once; in one go; without stopping
使うシーン
参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年
関連する故事成語
一念発起
いちねんほっき
ある物事を成し遂げようとはっきりと心に決意すること。仏教で菩提心を起こすことを「発起」と言い、そこに「一念」(一途な思い)を組み合わせた表現が日常語に転じた。現代では「よし、やろう」という前向きな決意を表す。特に年度の変わり目・転職・失敗の直後など、人生の節目に用いることが多い。心機一転と異なり、最初の一歩を明確に踏み出すニュアンスが強いため、具体的な行動開始を宣言する場面に向く。
推敲
すいこう
詩文や文章を何度も練り直し、一語一語を吟味しながら最良の表現を追求すること。「推す」か「敲く」かという二語の選択に苦悩した詩人の故事から生まれた言葉で、今日では文章全般の校正・リライト・表現の磨き上げを広く指す。賈島と韓愈の故事が示すように、言葉一語への真摯な向き合い方は書くことへの誠実な姿勢そのものを体現する行為でもある。
急いては事を仕損じる
いそいではことをしそんじる
何事も焦って急ぐと失敗しやすいということ。急ぎすぎると注意力が散漫になり、手順を飛ばしたり確認を怠ったりして、かえって手直しや取り返しに時間がかかってしまう。「急いては」は「急いで行動すれば」という仮定の表現、「仕損じる」は「やり損ねる・失敗する」の意。物事に落ち着いて取り組むことの大切さを説く、日本の代表的なことわざのひとつ。
一石二鳥
いっせきにちょう
一つの行動で二つの利益や目的を同時に達成すること。英語の諺「kill two birds with one stone」に対応する表現で、日本語でも効率的な方法や偶然の副次的効果を表す。単なる効率化だけでなく、予期せぬ副次的利益が生じた場合にも使う。「一挙両得(いっきょりょうとく)」が漢語系の同義語として並行して使われており、改まった文脈では「一挙両得」が好まれることもある。一石二鳥はより口語的・日常的な表現。
息を呑む
いきをのむ
驚きや緊張、感動で思わず息を止めてしまうこと。美しいものや衝撃的な場面に出会い、一瞬呼吸が止まるほどの強い感情を受けた様子を表す言葉。良い意味(絶景や感動的な演技)にも悪い意味(衝撃的な知らせ)にも使える表現。「呑む」が「飲み込む・中に収める」を意味し、息を一瞬飲み込んで止める身体感覚を言語化したもの。英語の「hold one's breath」や「take one's breath away」に対応する。
心機一転
しんきいってん
気持ちや心の状態をすっかり入れ替えて、新たな気持ちで物事に取り組むこと。過去の失敗・悩み・惰性を振り切り、気分を一新して前向きに出発する様子を表す。悪いことが続いた後や、新しい環境に移る際によく使われる表現。特に年度の変わり目や転職・引越しのような節目に用いられることが多く、新しい環境での出発を宣言する言葉として定着している。過去の自分と決別する積極的な姿勢を表す。
一挙両得
いっきょりょうとく
一つの行動で二つの利益を同時に得ること。
塵も積もれば山となる
ちりもつもればやまとなる
わずかなものでも、積み重なれば大きなものになるということ。小さな努力・節約・積み立てを継続することの大切さを説く。毎日の些細な行動でも長く続ければ大きな成果を生むという教えで、貯蓄・学習・訓練など、地道な継続を励ます文脈でよく使われる。小さなことを軽視しないよう促す意味合いも含み、日々の習慣の力を示す表現。