言葉辞典
四字熟語

心機一転

しんきいってん

四字熟語の意味

気持ちや心の状態をすっかり入れ替えて、新たな気持ちで物事に取り組むこと。過去の失敗・悩み・惰性を振り切り、気分を一新して前向きに出発する様子を表す。悪いことが続いた後や、新しい環境に移る際によく使われる表現。特に年度の変わり目や転職・引越しのような節目に用いられることが多く、新しい環境での出発を宣言する言葉として定着している。過去の自分と決別する積極的な姿勢を表す。

由来・語源

「機」は心のはたらき・きっかけを意味する。仏教では「機」(根機)は悟りを受け入れる素地・縁起を指す語で、日本には奈良・平安時代に仏教とともに伝わった。「心機」は心のはたらき・心のきっかけという意で、「一転」はがらりと変わることを指す。「心機一転」の四字熟語としての固定は江戸〜明治期と見られる。仏教の「転機」(運命の分かれ目・変化の契機)という概念との関係も指摘される。現代では特に、環境の変化(転職・転居・年始・失敗の後など)を新しい出発の機会とする際の決意表明として頻用される。「心を入れ替えて」という日常的な言い回しと同義で使われることが多い。環境の変化や失敗を積極的な「転換点」として意味づける際に用いられ、困難な状況を前向きに捉え直すための語として幅広い世代に親しまれている。

用例

  • 失恋を機に心機一転、新しい趣味を始めた。
  • 転職を機に心機一転、生活習慣も見直した。
  • 心機一転の気持ちで新学期に臨んだ彼は、見違えるように積極的になった。
  • 引っ越しを機に心機一転し、長年続けてきた悪習慣をすべてリセットした。
  • 試合に負けてから三ヶ月、心機一転して練習に打ち込んだ結果が今日の優勝につながった。

類義の四字熟語

気持ちを切り替える一念発起(いちねんほっき)再出発捲土重来(けんどちょうらい)

対義の四字熟語

旧態依然(きゅうたいいぜん)惰性(だせい)

英語訳

"Turn over a new leaf." / "Make a fresh start."

使うシーン

日常会話人生訓ビジネス

参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 三省堂編修所 編『新明解四字熟語辞典 第二版』三省堂, 2020年

関連する四字熟語

四字熟語

一念発起

いちねんほっき

ある物事を成し遂げようとはっきりと心に決意すること。仏教で菩提心を起こすことを「発起」と言い、そこに「一念」(一途な思い)を組み合わせた表現が日常語に転じた。現代では「よし、やろう」という前向きな決意を表す。特に年度の変わり目・転職・失敗の直後など、人生の節目に用いることが多い。心機一転と異なり、最初の一歩を明確に踏み出すニュアンスが強いため、具体的な行動開始を宣言する場面に向く。

ことわざ

七転び八起き

ななころびやおき

何度失敗してもその都度立ち上がって努力すること。転んでも転んでも起き上がる不屈の精神を表す。失敗や挫折を繰り返しながらも諦めずに前進し続ける姿勢を称える表現。挫折した人を励ます言葉、あるいは自分自身の意志を確かめる言葉として使われる。「七転八起(しちてんはっき)」とも書き、だるまの起き上がり小法師がこの精神を象徴する。

四字熟語

起死回生

きしかいせい

今にも死にそうな状態から蘇らせること。転じて、絶望的な状況や危機的な局面を一気に立て直すこと。ビジネスの経営危機、スポーツの試合での逆転、病気からの回復など、広く用いられる。「逆転の一手」「土壇場の大逆転」に近いニュアンスを持つ。「一矢報いる」「起死回生の一打」などの慣用表現としても使われ、劇的な逆転を形容する語として定着。逆境の中でこそ発揮される力を称える意味でも多く使われる。

四字熟語

七転八倒

しちてんばっとう

激しい苦しみや痛みのために、転げ回ってもがき苦しむ様子。身体的な激痛(腹痛・打撲など)だけでなく、精神的な苦悩で途方に暮れる状態にも使う。「七転び八起き(七転八起)」が不屈の精神を表すのとは異なり、こちらは苦しみそのものを表す。似た言葉に「七転八起(しちてんはっき)」があり、七転八起は転んでも立ち上がる不屈の精神を表すが、七転八倒はもがき苦しむ状態そのものを強調する点で異なる。

四字熟語

試行錯誤

しこうさくご

いろいろ試みては失敗を繰り返しながら、次第に目的に近づいていくこと。正解が分からない問題を、試みと失敗を重ねながら解いていく過程を指す。失敗を否定的に捉えるのではなく、学習と改善のプロセスとして肯定的に使われることが多い。「試行錯誤を繰り返す」「試行錯誤の末に」という形でよく使われる。試みることを恐れない姿勢が根底にある。

四字熟語

以心伝心

いしんでんしん

言葉や文字を使わなくても、互いの心が自然に通じ合うこと。禅宗で言語や文字を超えて師匠の悟りが弟子の心に直接伝わることを表した語が日常語に転じた。深い信頼関係や長い付き合いの中で言葉を交わさなくても意思疎通できる状態を表す。特に長年連れ添ったパートナー、同じ道を歩んできた師弟、幼馴染など、積み重ねられた時間が生み出す深い相互理解を表す際に使われることが多い。

ことわざ

千里の道も一歩から

せんりのみちもいっぽから

どんなに大きな事業や遠い目標でも、まず身近なことから着実に始めることが大切だということ。始めることの重要性と、一歩一歩の積み重ねを説く表現。壮大な計画の前に及び腰になっている人への励まし、あるいは行動を促す言葉として使われる。長い旅も足元の一歩からというイメージが明快で、動き出すことを後押しする力がある。

四字熟語

一期一会

いちごいちえ

一生に一度だけの出会いと心得て、その場のもてなしに誠心誠意を尽くすべきという茶道の精神を表す言葉。同じ顔ぶれで再び席を設けることがあっても、まったく同じ瞬間は二度と戻らない。転じて、人との縁や機会はすべて唯一の瞬間であると捉え、毎回を大切に誠実に向き合う人生の姿勢を表すものとして、茶道の枠を超えて広く用いられている。

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