一石二鳥
いっせきにちょう
四字熟語の意味
一つの行動で二つの利益や目的を同時に達成すること。英語の諺「kill two birds with one stone」に対応する表現で、日本語でも効率的な方法や偶然の副次的効果を表す。単なる効率化だけでなく、予期せぬ副次的利益が生じた場合にも使う。「一挙両得(いっきょりょうとく)」が漢語系の同義語として並行して使われており、改まった文脈では「一挙両得」が好まれることもある。一石二鳥はより口語的・日常的な表現。
由来・語源
漢籍ではなく英語からの翻訳語である。『デジタル大辞泉』も『四字熟語を知る辞典』も、西洋のことわざ To kill two birds with one stone.(一つの石で二羽の鳥を落とす)に由来すると記す。『ことわざを知る辞典』は日本語へ入った道筋をさらに細かく追う。幕末から英和辞典に載り、明治のころは「一挙両得」と訳したり、「一石を以て二鳥を殺す」と直訳したりしていた。その直訳が大正期に縮まって四字の形になり、初めは学生が仲間うちで使い、のちに一般へ広まったという。同辞典は、英語では慣用句にすぎないものが日本語ではことわざとして扱われる点を、日本語と英語のことわざ感覚の違いが出た例と見る。中国の「一箭双雕」、朝鮮語の言い回しも同趣の表現として挙がるが、四字熟語の形に整えたのは日本である。日本語の用例としては、『精選版 日本国語大辞典』が八木義徳『劉広福』(1944年)を挙げる。
用例
- “通勤時間に語学の勉強をするのは、まさに一石二鳥だ。”
- “子連れで行ける料理教室は、育児と技術習得の一石二鳥になる。”
- “散歩しながら用事を済ませる一石二鳥の生活術。”
- “このプロジェクトは売上向上とブランド認知の向上を同時に狙う一石二鳥の戦略だ。”
- “廃材を再利用してオブジェを作るのは、コスト削減と環境への貢献という一石二鳥になる。”
類義の四字熟語
対義の四字熟語
英語訳
"Kill two birds with one stone." / "Hit two targets with one shot."
使うシーン
参考文献
このページで確認した資料
意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。
- コトバンク「一石二鳥」 — デジタル大辞泉と四字熟語を知る辞典が英語 To kill two birds with one stone. 由来と記すこと、ことわざを知る辞典が幕末の英和辞典収載から明治の二種の訳、大正期の四字化、学生から一般への普及という受容史と中国「一箭双雕」を示すこと、精選版が八木義徳『劉広福』(1944)を初出例に挙げることの確認
編集の基本参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 三省堂編修所 編『新明解四字熟語辞典 第二版』三省堂, 2020年
言葉の使い方をもっと磨きたい方へ
PR性格統計学にもとづき、伝え方・褒め方・関わり方を体系的に学べる検定講座。人間関係の悩みの解消に。
誤字脱字・表記揺れ・不自然な言い回しをAIがチェックし、伝わる文章に整えるクラウド校正ツール。
※ このボックスのリンクにはアフィリエイト広告が含まれます
四字熟語をもっと調べたい方へ
PR※ このボックスのリンクにはアフィリエイト広告が含まれます
関連する四字熟語
一挙両得
いっきょりょうとく
一つの行動で二つの利益を同時に得ること。
二兎を追う者は一兎をも得ず
にとをおうものはいっとをもえず
二つのことを同時にしようとすると、結局どちらも成功しないということ。
漁夫の利
ぎょふのり
二者が争っている間に、第三者が苦労せずに利益を得ること。他人の争いを利用して、自分が得をすることを指す。争っている両者がともに消耗する一方で、傍観していた第三者が最終的な勝利者になるという状況に使う。ビジネスや政治・外交の戦略的な文脈でもよく引用され、漁夫の利を狙う第三者の戦略を批判または分析するときに使われる。
一刀両断
いっとうりょうだん
一太刀でまっぷたつに断ち切ること。転じて、迷いなく物事をすっぱりと決断・解決すること。複雑な問題や長引く議論を思い切りよく処理する様子を表す。「一刀のもとに断ち切る」に近いニュアンスで、明快な判断力を称える際に使われることが多い。優柔不断と対照的に使われることが多く、複雑な問題を思い切りよく解決するリーダーの資質として「一刀両断の判断力」が評価される場面も多い。
石橋を叩いて渡る
いしばしをたたいてわたる
丈夫に見える石橋でも、渡る前に叩いて安全を確かめるというたとえ。念には念を入れ、十分に安全と思えることにも用心してから行動することをいう。契約や大きな買い物など、失敗したときのやり直しが重い場面で使いやすい。用心深さを褒める場面のほか、慎重すぎて決断が遅いと皮肉る場面にも使う。「急がば回れ」が安全で確実な道を選ぶ教えなのに対し、こちらは行動前に確かめる姿勢に重きを置く。
石の上にも三年
いしのうえにもさんねん
冷たい石の上でも長く座り続ければ温かくなる、というたとえから、最初は苦しく手応えがなくても、有益だと判断したことを粘り強く続ければ力や成果につながることをいう。新しい技能の習得や、環境に慣れるまでの努力を励ます場面で使う。三年という数字を文字どおりの期限とする言葉ではない。また、心身を傷つける環境まで耐え続けることを勧める意味でもない。
一を聞いて十を知る
いちをきいてじゅうをしる
一つのことを聞いただけで、その他の多くのことまで理解できるほど賢いこと。
他山の石
たざんのいし
他の山から出た粗い石でも、玉を磨くのに役立つ。転じて、他人の誤った言行や失敗も、自分を磨く材料にできるという教え。磨かれるのは自分の側で、石にあたるのは他人の劣ったところだから、優れた人の言行を手本にする意味で使うのは誤りとされる。敬意を向けたい相手の仕事を「他山の石とします」と言えば、その人を粗い石に見立てたことになる。文化庁の調査でも、本来の意味で理解していた人は三割前後にとどまる。人の失敗から学ぶ「反面教師」に近い語だと置いて使うと、外しにくい。