一石二鳥
いっせきにちょう
四字熟語の意味
一つの行動で二つの利益や目的を同時に達成すること。英語の諺「kill two birds with one stone」に対応する表現で、日本語でも効率的な方法や偶然の副次的効果を表す。単なる効率化だけでなく、予期せぬ副次的利益が生じた場合にも使う。「一挙両得(いっきょりょうとく)」が漢語系の同義語として並行して使われており、改まった文脈では「一挙両得」が好まれることもある。一石二鳥はより口語的・日常的な表現。
由来・語源
英語の諺「to kill two birds with one stone」の翻訳・借用として日本に入った表現。英語の原表現は17世紀のイギリスで確認されており、ヨーロッパ各地に類似の諺がある。日本への受容は江戸時代後期から明治にかけて西洋語の翻訳が盛んになった時期と重なる。中国語でも「一石二鳥」は使われるが、これも同様に英語からの翻訳借用である可能性が高い。「一挙両得」(いっきょりょうとく)も同義の漢語成句として古くから使われており、こちらは中国古典に由来する。日本では明治以降に広く普及し、現代では最も使用頻度の高い四字熟語の一つとなっている。昭和期以降、特に日常会話で非常に多く使われる語として定着し、英語との対応関係が明確なため、日英比較でも頻繁に引用される語となった。
用例
- “通勤時間に語学の勉強をするのは、まさに一石二鳥だ。”
- “子連れで行ける料理教室は、育児と技術習得の一石二鳥になる。”
- “散歩しながら用事を済ませる一石二鳥の生活術。”
- “このプロジェクトは売上向上とブランド認知の向上を同時に狙う一石二鳥の戦略だ。”
- “廃材を再利用してオブジェを作るのは、コスト削減と環境への貢献という一石二鳥になる。”
類義の四字熟語
対義の四字熟語
英語訳
"Kill two birds with one stone." / "Hit two targets with one shot."
使うシーン
参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 三省堂編修所 編『新明解四字熟語辞典 第二版』三省堂, 2020年
関連する四字熟語
一挙両得
いっきょりょうとく
一つの行動で二つの利益を同時に得ること。
一刀両断
いっとうりょうだん
一太刀でまっぷたつに断ち切ること。転じて、迷いなく物事をすっぱりと決断・解決すること。複雑な問題や長引く議論を思い切りよく処理する様子を表す。「一刀のもとに断ち切る」に近いニュアンスで、明快な判断力を称える際に使われることが多い。優柔不断と対照的に使われることが多く、複雑な問題を思い切りよく解決するリーダーの資質として「一刀両断の判断力」が評価される場面も多い。
二兎を追う者は一兎をも得ず
にとをおうものはいっとをもえず
二つのことを同時にしようとすると、結局どちらも成功しないということ。
起死回生
きしかいせい
今にも死にそうな状態から蘇らせること。転じて、絶望的な状況や危機的な局面を一気に立て直すこと。ビジネスの経営危機、スポーツの試合での逆転、病気からの回復など、広く用いられる。「逆転の一手」「土壇場の大逆転」に近いニュアンスを持つ。「一矢報いる」「起死回生の一打」などの慣用表現としても使われ、劇的な逆転を形容する語として定着。逆境の中でこそ発揮される力を称える意味でも多く使われる。
他山の石
たざんのいし
他の山から採れたつまらない石でも、玉を磨くのに役立てることができる。転じて、他人の過ちや欠点も自分の修養・向上の参考になるということ。悪い例からも学べるという教えで、他人の失敗を反面教師とする姿勢を表す。ただし本来の意味は「他人の言動や意見を自分の向上に役立てる」という中立的なものでもある。自分の向上に役立てるという中立的なニュアンスも持ち、反面教師よりもやや広い文脈で使える語。
一期一会
いちごいちえ
一生に一度だけの出会いと心得て、その場のもてなしに誠心誠意を尽くすべきという茶道の精神を表す言葉。同じ顔ぶれで再び席を設けることがあっても、まったく同じ瞬間は二度と戻らない。転じて、人との縁や機会はすべて唯一の瞬間であると捉え、毎回を大切に誠実に向き合う人生の姿勢を表すものとして、茶道の枠を超えて広く用いられている。
漁夫の利
ぎょふのり
二者が争っている間に、第三者が苦労せずに利益を得ること。他人の争いを利用して、自分が得をすることを指す。争っている両者がともに消耗する一方で、傍観していた第三者が最終的な勝利者になるという状況に使う。ビジネスや政治・外交の戦略的な文脈でもよく引用され、漁夫の利を狙う第三者の戦略を批判または分析するときに使われる。
棚からぼたもち
たなからぼたもち
努力をしたわけでも準備をしたわけでもないのに、棚の上から思いがけずぼたもちが落ちてくるように、突然予想外の幸運や利益が転がり込んでくること。偶然の幸運、いわゆる「棚ぼた」を表す表現。羨望や驚きを込めて使われることが多い。努力の結果ではない点が「果報は寝て待て」との本質的な違いであり、稀に自嘲や皮肉の文脈でも用いられる。