言葉辞典
四字熟語

一刀両断

いっとうりょうだん

四字熟語の意味

一太刀でまっぷたつに断ち切ること。転じて、迷いなく物事をすっぱりと決断・解決すること。複雑な問題や長引く議論を思い切りよく処理する様子を表す。「一刀のもとに断ち切る」に近いニュアンスで、明快な判断力を称える際に使われることが多い。優柔不断と対照的に使われることが多く、複雑な問題を思い切りよく解決するリーダーの資質として「一刀両断の判断力」が評価される場面も多い。

由来・語源

中国古典に原典がないという説明を見かけるが、それは誤りである。精選版日本国語大辞典はこの語の文献に南宋『朱子語類』論語の条を挙げており、実際その巻四十四には、「克己」を論じて根源から一刀両断に斬り絶つのだと述べる一節がある。私欲を断つ心の構えを、太刀の一振りにたとえた言い方であった。日本語としての例も古く、精選版によれば、思いきって一度にはっきり処置するという比喩の例は『応永本論語抄』(一四二〇年)、物をまっ二つに切る字義どおりの例は『襟帯集』(一五六九年)にさかのぼる。剣術の教課として、精選版が「小手先の技巧を用いないで、もっぱら太刀をまっすぐに振りおろすこと」と記す用法も『日葡辞書』(一六〇三〜〇四年)に載る。漢籍の議論の場で使われた比喩が、日本では剣術の術語と日常の比喩の双方に根を下ろした語である。武士の試し切りに由来するという説明は、資料で確かめられない。

用例

  • “長引いた議論を社長が一刀両断、最終決定を下した。”
  • “彼女の一言が問題の核心を一刀両断し、会議室に沈黙が訪れた。”
  • “悪習を一刀両断にするために、社内規定を全面的に見直した。”
  • “裁判所の判決は被告の主張を一刀両断する内容だった。”
  • “一刀両断に見えるが、その判断の背後には深い熟慮があった。”

類義の四字熟語

明快(めいかい)に解決する断固(だんこ)たる一挙に解決快刀乱麻(かいとうらんま)

対義の四字熟語

優柔不断(ゆうじゅうふだん)棚上げ(たなあげ)有耶無耶(うやむや)

英語訳

"Cut the Gordian knot." / "Settle the matter decisively."

使うシーン

人物評ビジネス受験頻出

参考文献

このページで確認した資料

意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。

  • コトバンク「一刀両断」 — 精選版がこの語の文献に〔朱子語類‐論語〕を挙げること(中国古典に原典がないという説明が成り立たない根拠)、字義どおりの例に『襟帯集』(1569)、剣術の教課の義に『日葡辞書』(1603〜04)、比喩義の例に『応永本論語抄』(1420)と夏目漱石『三四郎』(1908)を挙げることの確認
  • 『朱子語類』巻四十四 論語二十六(中文ウィキソース) — 「可見『克己』者是從根源上一刀兩斷,便斬絕了,更不復萌」の原文確認。精選版が挙げる〔朱子語類‐論語〕の実体で、私欲を断つ心の構えを太刀の一振りにたとえた用例であること

編集の基本参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 三省堂編修所 編『新明解四字熟語辞典 第二版』三省堂, 2020年

四字熟語をもっと調べたい方へ

PR

※ このボックスのリンクにはアフィリエイト広告が含まれます

関連する四字熟語

四字熟語

優柔不断

ゆうじゅうふだん

ぐずぐずとして決断力に欠けること。「優柔」は気が弱く柔らかい性格を、「不断」は決断できないことを指す。性格的な特徴として用いられることが多く、批判的なニュアンスを帯びる。重要な局面で決断を先延ばしにする傾向を表す言葉。リーダーや上司に用いると批判的なニュアンスが強くなるため、使う場面と相手関係には注意が必要。反省や自省の文脈でも「自分の優柔不断を克服する」という形で使われる。

故事成語

破竹の勢い

はちくのいきおい

竹を割るように一気に進む止めがたい勢いのこと。物事が次々と勢いよく進んでいく様子を指す。

故事成語

一気呵成

いっきかせい

作業の流れを途中で切らず、ひと続きの勢いで文章や仕事を仕上げること。もともとは詩文を作り上げる場面に強く結び付くが、今は脚本、企画、改革など、まとまった仕事を完成まで進める場合にも使う。「数が一気に増える」の「一気」と同じく、ひと息にという感覚はある。しかし「一気呵成」は、量が増える自然な変化ではなく、作り手が取り組みを成し遂げる場面に選ぶ語である。急いで雑に終えることを褒める意味ではない。構想や下準備を済ませた後に執筆を一気呵成に進める、と言えば、準備から完成へ流れがつながった印象になる。単に同時に処理するなら「一斉に」、流麗に進む様子なら「一瀉千里」と使い分ける。

四字熟語

一石二鳥

いっせきにちょう

一つの行動で二つの利益や目的を同時に達成すること。英語の諺「kill two birds with one stone」に対応する表現で、日本語でも効率的な方法や偶然の副次的効果を表す。単なる効率化だけでなく、予期せぬ副次的利益が生じた場合にも使う。「一挙両得(いっきょりょうとく)」が漢語系の同義語として並行して使われており、改まった文脈では「一挙両得」が好まれることもある。一石二鳥はより口語的・日常的な表現。

四字熟語

一朝一夕

いっちょういっせき

一日の朝と夕ほどの短い時間、ほんのわずかな期間をいう。「一朝一夕にはできない」のように否定を伴い、短期間では実現できないことを表す用法が多い。技術を身につけることや信頼を築くことなど、時間をかけて積み重ねる必要があるものについて使う。ここでの「一朝」「一夕」は、文字どおり一度の朝夕を数えるのではなく、短さを表す。

慣用句

二の足を踏む

にのあしをふむ

やろうと決めた計画でも、実際に始める段になると迷い、判断や着手を先送りすること。準備や話し合いが進んでいても、失敗への不安、責任、周囲への影響などが気になり、次の行動を選べない場面に使う。迷う理由は一つに限らず、結局やめたとまでは意味しない。「優柔不断」が決断しにくい性質を指すのに対し、「二の足を踏む」は特定の計画や行動に踏み切れない局面を描く。

四字熟語

二兎を追う者は一兎をも得ず

にとをおうものはいっとをもえず

二つのことを同時にしようとすると、結局どちらも成功しないということ。

四字熟語

一挙両得

いっきょりょうとく

一つの行動で二つの利益を同時に得ること。

運営: テックジョイント株式会社 | サイトについて | プライバシーポリシー