骨が折れる
ほねがおれる
慣用句の意味
物事が非常に難しく、多大な苦労・努力・手間がかかること。骨折するほどの過酷さで取り組まなければならない、困難な作業や状況を指す言葉。「骨を折る」(誰かのために尽力する)という能動的表現と対になる受け身の表現で、作業・状況そのものの困難さを客観的に描写する場合に使われる。「骨を折る」が他者への献身を指すのに対し、「骨が折れる」は物事の大変さ自体を描写する点が異なる。
言葉の成り立ち
辞典はこの言い回しに語源の説明を置いていない。確かめられるのは用例の古さで、『精選版 日本国語大辞典』は『中華若木詩抄』(1520年ごろ)の「一段骨は折れて」を初出に挙げ、困難で苦労する、面倒であると語釈する。『デジタル大辞泉』も労力がいる、困難であるとし、用例に「内容を理解するのに骨が折れる」を掲げる。対になる「骨を折る」はさらに古く、同じ『精選版』が『閑居友』(1222年ごろ)の「ほねををりて」を初出とし、労苦をいとわず仕事に励む、苦心して人の世話を焼く意とする。つまり「骨を折る」は骨を折る当人の尽力を指し、「骨が折れる」は骨が折れるほどの物事の重さを指す。同じ身体の比喩でも、努力する人を見るか、相手にする物事を見るかで向きが逆になる。ここを取り違えると「彼が骨が折れてくれた」のような誤用になる。
用例
- “山登りは慣れていない人には骨が折れる運動だが、頂上からの眺めは格別だ。”
- “子どもの宿題の丸付けは手間がかかり、毎日骨が折れる作業だ。”
- “複雑な契約交渉は骨が折れるが、丁寧にすすめることが長期的な信頼につながる。”
- “100人分の食事を一人で準備するのは、骨が折れる作業だった。”
- “初心者に一から丁寧に教えるのは骨が折れるが、やりがいのある仕事だ。”
似た慣用句
対になる慣用句
英語表現
To be tough or hard work; To be a back-breaking task; To take a lot of effort
使う場面
参考文献
このページで確認した資料
意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。
- コトバンク「骨が折れる」 — デジタル大辞泉「労力がいる。困難である」、精選版「困難で苦労する。面倒である」と『中華若木詩抄』(1520頃)の初出例の確認。語源の記述は無い
- コトバンク「骨を折る」 — 対になる「骨を折る」が労苦をいとわず励む・人の世話をする意であることと、『閑居友』(1222頃)の初出例の確認
編集の基本参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年
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関連する慣用句
骨を折る
ほねをおる
他人や物事のために、多大な苦労や努力を惜しまないこと。特に、誰かの役に立つために自分を犠牲にして骨身を惜しまず尽くす行為を指す。感謝の文脈で「骨を折ってくれた」のように使われることが多い能動的な表現。「骨が折れる」(その作業が大変だという状況描写)と対になる関係にあり、主体が誰かのために積極的に苦労するという意志的な行為を示す点で区別される。
鼻を折る
はなをおる
得意になっている人や傲慢な人の自尊心を打ち砕き、高飛車な態度を矯正すること。驕り高ぶった者を一撃で謙虚にさせる行為を指す表現。「鼻」が自尊心・誇りの象徴であることから、その鼻を「折る」ことで相手の驕りや慢心を打ち砕くイメージ。英語の「to take someone down a peg or two(上から引きずりおろす)」に対応する。「鼻が高い」と対照的な関係にある慣用句。
頭を抱える
あたまをかかえる
難しい問題や困った状況に直面して、どうすればよいかわからず深く悩むこと。文字どおり両手で頭を抱えるような、深刻な困惑・行き詰まりの状態を表す言葉。解決策が見つからない焦りや絶望感を身体動作に例えた表現で、仕事・家庭・人間関係などあらゆる困難な場面に幅広く使われる。英語の「at one's wit's end(万策尽きた)」に対応する表現。
七転八倒
しちてんばっとう
激しい苦しみや痛みのために、転げ回ってもがき苦しむ様子。身体的な激痛(腹痛・打撲など)だけでなく、精神的な苦悩で途方に暮れる状態にも使う。「七転び八起き(七転八起)」が不屈の精神を表すのとは異なり、こちらは苦しみそのものを表す。似た言葉に「七転八起(しちてんはっき)」があり、七転八起は転んでも立ち上がる不屈の精神を表すが、七転八倒はもがき苦しむ状態そのものを強調する点で異なる。
度肝を抜く
どぎもをぬく
相手を極度に驚かせること、また非常に強い驚きを受けること。予想をはるかに超えた衝撃・迫力・パフォーマンスに出会い、圧倒されるほどの驚きを表す強烈な慣用表現。良い意味(感動的な演技や美しい景色)にも悪い意味(衝撃的なニュースや突然の出来事)にも使われる。「驚く」という言葉の中でも特に強烈な驚きを指す場面で用いられる。
暖簾に腕押し
のれんにうでおし
いくら力を入れても手応えがなく、張り合いがないこと。
揚げ足を取る
あげあしをとる
相手の言い間違い、言葉尻、表現上の小さな不備だけを取り上げ、主張の筋とは別の所で責めたりからかったりすること。否定的な評価を伴う慣用句で、相手の誤りを正確に直すことすべてを指すわけではない。たとえば数字の桁違いが結論を変えるなら、それは必要な訂正であって「揚げ足を取る」ではない。論点に関わらない一語だけを何度も責め、相手を言い負かすことが目的になったときに使う。会議や文章の検討では、「表現より結論の根拠を確認しよう」と本筋へ戻す言い方を選ぶと、揚げ足取りになりにくい。
犬も歩けば棒に当たる
いぬもあるけばぼうにあたる
何かをしていれば思わぬ幸運に出会うこともある、ということ。また、出しゃばると災難に遭うという意味もある。