言葉辞典
慣用句

骨が折れる

ほねがおれる

慣用句の意味

物事が非常に難しく、多大な苦労・努力・手間がかかること。骨折するほどの過酷さで取り組まなければならない、困難な作業や状況を指す言葉。「骨を折る」(誰かのために尽力する)という能動的表現と対になる受け身の表現で、作業・状況そのものの困難さを客観的に描写する場合に使われる。「骨を折る」が他者への献身を指すのに対し、「骨が折れる」は物事の大変さ自体を描写する点が異なる。

言葉の成り立ち

「骨(ほね)」は体の最も根幹をなす部位であり、日本語では「本質・根本的な努力」を象徴する言葉として数多くの慣用句に使われる(「骨を折る」「骨の折れる」「骨身を惜しまず」「骨が入る」など)。「骨が折れる」は骨折するほどの大変さという身体感覚を比喩にした表現で、作業や状況そのものの困難さを描写する際に使う。「骨を折る」との違いは、主体と対象の関係にある。「骨を折る」が「誰かのために積極的に苦労する」という能動的な行為を指すのに対し、「骨が折れる」は「その作業・状況が大変である」という受け身の描写に使う。例えば「彼が骨を折ってくれた(努力してくれた)」と「この仕事は骨が折れる(大変だ)」という使い分けが典型的。この区別を意識することで、二つの表現の用法を正確に使い分けることができる。

用例

  • 山登りは慣れていない人には骨が折れる運動だが、頂上からの眺めは格別だ。
  • 子どもの宿題の丸付けは手間がかかり、毎日骨が折れる作業だ。
  • 複雑な契約交渉は骨が折れるが、丁寧にすすめることが長期的な信頼につながる。
  • 100人分の食事を一人で準備するのは、骨が折れる作業だった。
  • 初心者に一から丁寧に教えるのは骨が折れるが、やりがいのある仕事だ。

似た慣用句

骨の折れる大変な苦労する手間がかかる

対になる慣用句

楽な造作もないたやすい

英語表現

To be tough or hard work; To be a back-breaking task; To take a lot of effort

使う場面

苦労困難

参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年

関連する慣用句

慣用句

骨を折る

ほねをおる

他人や物事のために、多大な苦労や努力を惜しまないこと。特に、誰かの役に立つために自分を犠牲にして骨身を惜しまず尽くす行為を指す。感謝の文脈で「骨を折ってくれた」のように使われることが多い能動的な表現。「骨が折れる」(その作業が大変だという状況描写)と対になる関係にあり、主体が誰かのために積極的に苦労するという意志的な行為を示す点で区別される。

慣用句

鼻を折る

はなをおる

得意になっている人や傲慢な人の自尊心を打ち砕き、高飛車な態度を矯正すること。驕り高ぶった者を一撃で謙虚にさせる行為を指す表現。「鼻」が自尊心・誇りの象徴であることから、その鼻を「折る」ことで相手の驕りや慢心を打ち砕くイメージ。英語の「to take someone down a peg or two(上から引きずりおろす)」に対応する。「鼻が高い」と対照的な関係にある慣用句。

ことわざ

急いては事を仕損じる

いそいではことをしそんじる

何事も焦って急ぐと失敗しやすいということ。急ぎすぎると注意力が散漫になり、手順を飛ばしたり確認を怠ったりして、かえって手直しや取り返しに時間がかかってしまう。「急いては」は「急いで行動すれば」という仮定の表現、「仕損じる」は「やり損ねる・失敗する」の意。物事に落ち着いて取り組むことの大切さを説く、日本の代表的なことわざのひとつ。

慣用句

手を抜く

てをぬく

いい加減にやること。本来やるべき手順や努力を省略すること。

慣用句

へそを曲げる

へそをまげる

機嫌を損ねて意地を張ること。些細なことで不機嫌になり、素直でなくなる様子を表す言葉。子どもっぽい反応や、些細な怒りから意固地になる態度を批判的あるいはやや滑稽に指す場合が多い。「へそ」が体の中心(物事の核心)の象徴として使われることから、その中心が歪む(曲がる)ことで態度や気持ちが素直でなくなる状態を表す。大人に対して使うときにはやや批判的なニュアンスが伴う。

慣用句

腹をくくる

はらをくくる

どのような結果になっても受け入れる覚悟を決め、思い切った行動に出る心境になること。覚悟を固め、逃げずに立ち向かう決意を表す言葉。不安や恐れを乗り越えて、開き直りを含む強い決断を示す表現。武士が腹帯を締めて臨戦態勢を整えたイメージが語源とされ、腹(本心・覚悟の座)をひとつに固めることを指す。「腹を割って話す」「腹に一物ある」と合わせて「腹の慣用句」の代表格のひとつ。

四字熟語

一刀両断

いっとうりょうだん

一太刀でまっぷたつに断ち切ること。転じて、迷いなく物事をすっぱりと決断・解決すること。複雑な問題や長引く議論を思い切りよく処理する様子を表す。「一刀のもとに断ち切る」に近いニュアンスで、明快な判断力を称える際に使われることが多い。優柔不断と対照的に使われることが多く、複雑な問題を思い切りよく解決するリーダーの資質として「一刀両断の判断力」が評価される場面も多い。

慣用句

歯に衣着せぬ

はにきぬきせぬ

相手への遠慮や気遣いをせず、思ったことをそのまま率直に言うこと。相手が聞いて不快に感じることも、ためらわずに直接言う様子を表す。率直さが美徳として機能する文脈では褒め言葉として使われ、無遠慮さや失礼さを指摘する文脈では否定的な意味合いを帯びる。日本文化特有の「建前と本音」の二重構造の中で、本音を包まずに直接言う行為を際立たせる表現でもある。

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