頭を抱える
あたまをかかえる
慣用句の意味
難しい問題や困った状況に直面して、どうすればよいかわからず深く悩むこと。文字どおり両手で頭を抱えるような、深刻な困惑・行き詰まりの状態を表す言葉。解決策が見つからない焦りや絶望感を身体動作に例えた表現で、仕事・家庭・人間関係などあらゆる困難な場面に幅広く使われる。英語の「at one's wit's end(万策尽きた)」に対応する表現。
言葉の成り立ち
行き詰まったり、重大な問題に直面したりしたとき、人は無意識のうちに両手で頭を抱える動作をとる。この人間の自然な身体的反応をそのまま言語化した慣用句で、心理的・認知的な過負荷状態を身体の動作で表現する日本語の特徴がよく現れている。困惑や焦りで頭を抱えるポーズは万国共通の非言語コミュニケーションでもある。「頭(あたま)」を使った慣用句の中で「頭が下がる」(感心して敬意を抱く)が感動の瞬間に使われるのとは対照的に、「頭を抱える」は問題解決の困難さや不安に苦しむ場面で使う。英語では「to hold one's head in one's hands」「to be at one's wit's end」に相当する。
用例
- “予算オーバーの報告を受けた社長は頭を抱えて沈黙した。”
- “期末試験前になっていつも頭を抱えるのは、日頃の勉強不足が原因だ。”
- “部下のミスが重なり、上司は頭を抱えながら対策を考えた。”
- “借金が膨らんで頭を抱えている状況では、早めに専門家に相談するべきだ。”
- “システム障害が連続して、エンジニアチーム全員が頭を抱えた。”
似た慣用句
対になる慣用句
英語表現
To be at one's wit's end; To hold one's head in one's hands; To be stuck on a difficult problem
使う場面
参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年
関連する慣用句
頭が下がる
あたまがさがる
相手の行いや人柄に対して深く感心し、心から尊敬の念を抱くこと。思わず頭を下げるほどの感動と敬意を感じる様子を表す言葉。特に、長年の献身的な努力や無私の奉仕、困難な状況での毅然とした姿勢に触れたときに使われる表現。単なる「尊敬する」よりも強い感情的な感銘を含み、体が自然に反応してしまうほどの感動のニュアンスがある。
肩を持つ
かたをもつ
一方の味方をすること。ひいきにすること。
胸を撫で下ろす
むねをなでおろす
心配していたことが解決して安心すること。ほっとすること。危険や困難が去って、緊張がほぐれた瞬間の安堵感を表す。試験の合格、病気の快復、事故の回避など、心配事が無事に解決したときに使う表現。「胸をなでおろした」と過去形でよく使われる。危険が完全に去ったことを確認してから使う表現なので、まだ不安が残る状況には使わない。
腹をくくる
はらをくくる
どのような結果になっても受け入れる覚悟を決め、思い切った行動に出る心境になること。覚悟を固め、逃げずに立ち向かう決意を表す言葉。不安や恐れを乗り越えて、開き直りを含む強い決断を示す表現。武士が腹帯を締めて臨戦態勢を整えたイメージが語源とされ、腹(本心・覚悟の座)をひとつに固めることを指す。「腹を割って話す」「腹に一物ある」と合わせて「腹の慣用句」の代表格のひとつ。
首を長くする
くびをながくする
待ち遠しくて待ちわびること。期待して心待ちにすること。
腰を据える
こしをすえる
落ち着いてじっくり物事に取り組むこと。本腰を入れること。
鼻を折る
はなをおる
得意になっている人や傲慢な人の自尊心を打ち砕き、高飛車な態度を矯正すること。驕り高ぶった者を一撃で謙虚にさせる行為を指す表現。「鼻」が自尊心・誇りの象徴であることから、その鼻を「折る」ことで相手の驕りや慢心を打ち砕くイメージ。英語の「to take someone down a peg or two(上から引きずりおろす)」に対応する。「鼻が高い」と対照的な関係にある慣用句。
七転八倒
しちてんばっとう
激しい苦しみや痛みのために、転げ回ってもがき苦しむ様子。身体的な激痛(腹痛・打撲など)だけでなく、精神的な苦悩で途方に暮れる状態にも使う。「七転び八起き(七転八起)」が不屈の精神を表すのとは異なり、こちらは苦しみそのものを表す。似た言葉に「七転八起(しちてんはっき)」があり、七転八起は転んでも立ち上がる不屈の精神を表すが、七転八倒はもがき苦しむ状態そのものを強調する点で異なる。