胸を撫で下ろす
むねをなでおろす
慣用句の意味
心配していたことが解決して安心すること。ほっとすること。危険や困難が去って、緊張がほぐれた瞬間の安堵感を表す。試験の合格、病気の快復、事故の回避など、心配事が無事に解決したときに使う表現。「胸をなでおろした」と過去形でよく使われる。危険が完全に去ったことを確認してから使う表現なので、まだ不安が残る状況には使わない。
言葉の成り立ち
不安や心配で胸が締め付けられるような感覚から、その緊張がほぐれて胸を手で撫でるように楽になる身体の動作を慣用的に表した表現。日本語では感情が胸(胸部)に宿るという身体感覚が多くの表現に反映されており、「胸が痛む」「胸が苦しい」「胸がいっぱい」「胸騒ぎ」などと同系統の表現。安堵したとき、思わず胸に手を当てて撫でるような自然な動作をすることから生まれた。「撫で下ろす」は上から下へ手を撫でる動作で、胸の上部の緊張を和らげるイメージに由来する。「胸を撫で下ろす」という形が定型化しており、「胸を撫でる」だけでは同じ意味にならない点に注意。江戸時代の文学にも用例が見られる古い表現。結果がよかったときだけでなく、危険が完全に去ったことを確認してから使う点も、この表現の特徴。
用例
- “試験に合格したと聞いて、胸を撫で下ろした。”
- “救急車で運ばれたが軽傷だったと聞き、家族全員が胸を撫で下ろした。”
- “台風が予想より東にそれ、地域の住民は胸を撫で下ろした。”
- “長かった交渉がまとまり、担当者はようやく胸を撫で下ろした。”
- “プレゼンが無事終わり、胸を撫で下ろした。”
似た慣用句
対になる慣用句
英語表現
To breathe a sigh of relief; to be relieved that a worrying situation has been resolved.
使う場面
参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年
関連する慣用句
胸を張る
むねをはる
自信を持って堂々とすること。誇りを持つこと。
腹をくくる
はらをくくる
どのような結果になっても受け入れる覚悟を決め、思い切った行動に出る心境になること。覚悟を固め、逃げずに立ち向かう決意を表す言葉。不安や恐れを乗り越えて、開き直りを含む強い決断を示す表現。武士が腹帯を締めて臨戦態勢を整えたイメージが語源とされ、腹(本心・覚悟の座)をひとつに固めることを指す。「腹を割って話す」「腹に一物ある」と合わせて「腹の慣用句」の代表格のひとつ。
頭を抱える
あたまをかかえる
難しい問題や困った状況に直面して、どうすればよいかわからず深く悩むこと。文字どおり両手で頭を抱えるような、深刻な困惑・行き詰まりの状態を表す言葉。解決策が見つからない焦りや絶望感を身体動作に例えた表現で、仕事・家庭・人間関係などあらゆる困難な場面に幅広く使われる。英語の「at one's wit's end(万策尽きた)」に対応する表現。
頭が下がる
あたまがさがる
相手の行いや人柄に対して深く感心し、心から尊敬の念を抱くこと。思わず頭を下げるほどの感動と敬意を感じる様子を表す言葉。特に、長年の献身的な努力や無私の奉仕、困難な状況での毅然とした姿勢に触れたときに使われる表現。単なる「尊敬する」よりも強い感情的な感銘を含み、体が自然に反応してしまうほどの感動のニュアンスがある。
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てをぬく
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こしょうのうえ
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