言葉辞典
慣用句

頭が下がる

あたまがさがる

慣用句の意味

相手の行いや人柄に対して深く感心し、心から尊敬の念を抱くこと。思わず頭を下げるほどの感動と敬意を感じる様子を表す言葉。特に、長年の献身的な努力や無私の奉仕、困難な状況での毅然とした姿勢に触れたときに使われる表現。単なる「尊敬する」よりも強い感情的な感銘を含み、体が自然に反応してしまうほどの感動のニュアンスがある。

言葉の成り立ち

人が相手に深い敬意を示すとき、頭を垂れる(お辞儀をする)動作から生まれた表現。日本文化では、頭を下げることが相手への敬意や感謝を最も直接的に体で表す動作であり、「頭が(自然と)下がる」——つまり意識せずに敬意から頭を下げてしまうほど感心することを指す。単なる「尊敬する」よりも感情的な感銘が強く、思わず体が反応してしまうほどの感動を含む。「頭(あたま)」を使った慣用句の中で「頭を抱える」(難問に悩んで困惑する)が問題解決に苦しむ状態を指すのとは対照的に、「頭が下がる」は純粋な敬意と感動を表す点で異なる。英語の「to take one's hat off to someone」(帽子を脱いで敬意を示す)に相当する表現で、身体動作が敬意の象徴として機能する点で共通している。

用例

  • 何十年も地域の清掃活動を続けているボランティアの方には、本当に頭が下がる。
  • 病気と闘いながらも仕事を続ける同僚の姿に、頭が下がる思いだ。
  • 被災地で連日支援活動を続ける消防士たちには、頭が下がる。
  • あの研究者が40年間一つのテーマを追い続けた姿勢には、頭が下がる。
  • 困難な状況でも笑顔を絶やさず子どもたちを支える先生には、頭が下がる。

似た慣用句

敬服する感服する尊敬する脱帽する

対になる慣用句

軽蔑する見下す馬鹿にする

英語表現

To be filled with admiration; To take one's hat off to someone; To bow in respect

使う場面

尊敬感謝

参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年

関連する慣用句

慣用句

頭を抱える

あたまをかかえる

難しい問題や困った状況に直面して、どうすればよいかわからず深く悩むこと。文字どおり両手で頭を抱えるような、深刻な困惑・行き詰まりの状態を表す言葉。解決策が見つからない焦りや絶望感を身体動作に例えた表現で、仕事・家庭・人間関係などあらゆる困難な場面に幅広く使われる。英語の「at one's wit's end(万策尽きた)」に対応する表現。

慣用句

鼻を折る

はなをおる

得意になっている人や傲慢な人の自尊心を打ち砕き、高飛車な態度を矯正すること。驕り高ぶった者を一撃で謙虚にさせる行為を指す表現。「鼻」が自尊心・誇りの象徴であることから、その鼻を「折る」ことで相手の驕りや慢心を打ち砕くイメージ。英語の「to take someone down a peg or two(上から引きずりおろす)」に対応する。「鼻が高い」と対照的な関係にある慣用句。

慣用句

鼻が高い

はながたかい

誇りに思うこと、自慢に思うこと。特に、自分の身内や親しい人の成果・成功を誇りに思う場合によく使う表現。自慢げな様子や得意顔を表す言葉でもあり、正当な誇りや名誉感を示す場合に使われる。否定的なニュアンスは薄く、他者の活躍を自分のことのように誇らしく感じる場面で多く用いられる。英語の「to hold one's head high」や「to be proud」に対応する慣用句。

慣用句

歯に衣着せぬ

はにきぬきせぬ

相手への遠慮や気遣いをせず、思ったことをそのまま率直に言うこと。相手が聞いて不快に感じることも、ためらわずに直接言う様子を表す。率直さが美徳として機能する文脈では褒め言葉として使われ、無遠慮さや失礼さを指摘する文脈では否定的な意味合いを帯びる。日本文化特有の「建前と本音」の二重構造の中で、本音を包まずに直接言う行為を際立たせる表現でもある。

慣用句

骨を折る

ほねをおる

他人や物事のために、多大な苦労や努力を惜しまないこと。特に、誰かの役に立つために自分を犠牲にして骨身を惜しまず尽くす行為を指す。感謝の文脈で「骨を折ってくれた」のように使われることが多い能動的な表現。「骨が折れる」(その作業が大変だという状況描写)と対になる関係にあり、主体が誰かのために積極的に苦労するという意志的な行為を示す点で区別される。

四字熟語

謙信敬体

けんしんけいたい

謙虚な心と敬う態度を持つこと。自分を低くして他人を敬う姿勢。

故事成語

名を惜しむ

なをおしむ

自分の名誉や評判を大切にすること。体裁や面目を傷つけることを極度に嫌がることを指す。

慣用句

度肝を抜く

どぎもをぬく

相手を極度に驚かせること、また非常に強い驚きを受けること。予想をはるかに超えた衝撃・迫力・パフォーマンスに出会い、圧倒されるほどの驚きを表す強烈な慣用表現。良い意味(感動的な演技や美しい景色)にも悪い意味(衝撃的なニュースや突然の出来事)にも使われる。「驚く」という言葉の中でも特に強烈な驚きを指す場面で用いられる。

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