言葉辞典
慣用句

鼻が高い

はながたかい

慣用句の意味

誇らしい、得意だという気持ちを表す言い方。精選版日本国語大辞典は「得意なさま」「誇らしい」と並べて「自慢らしい」も語釈に挙げており、自慢げに響く含みが消えない語でもある。辞書が引く古い用例は自分自身が得意になる場面のものだが、身内や教え子、母校といった近しい相手の成果を我がことのように喜ぶ場面でも使う。自分のことに使うか身内のことに使うかで受け取られ方が変わる語なので、そこは意識して選びたい。顔立ちをいう「鼻が高い」は別の語義で、辞書も分けて立てている。

言葉の成り立ち

辞書はこの言い方に語源の説明を置いていない。確かめられるのは用例の古さで、精選版日本国語大辞典は初出例として評判記『色道大鏡』(1678年)の「此客鼻たかくなりて」を挙げ、続けて夏目漱石『吾輩は猫である』(1905〜06年)の例を引く。どちらも自分自身が得意になる場面の例である。顔の中で高く突き出た鼻を得意顔の象徴と見る連想は自然に思えるが、それを由来として示す資料は確認できていない。 同じ「鼻」を使う言い方には、デジタル大辞泉が「おごる心をくじく」と説く「鼻を折る」があり、「鼻が高い」とはちょうど表裏をなす。なお隠語大辞典はこの語を「天狗に同じ」とも説く。身内の成果を喜ぶ場面で使う一方、自慢げに見える含みも消えてはいない語である。

用例

  • “息子が医師国家試験に合格し、親として鼻が高い。”
  • “部下が社内表彰を受けたとき、上司は鼻が高い思いで見守っていた。”
  • “日本代表が世界大会で優勝し、日本人として鼻が高い気分だ。”
  • “卒業生がノーベル賞を受賞したと聞いて、母校の校長は鼻が高かった。”
  • “自社の製品が世界で高い評価を受け、社員全員が鼻が高い。”

似た慣用句

誇らしい自慢に思う得意に思う面目が立つ

対になる慣用句

恥ずかしい肩身が狭い面目が立たない

英語表現

To be proud; To hold one's head high; To be pleased with oneself or someone close

使う場面

感情誇り

参考文献

このページで確認した資料

意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。

  • コトバンク「鼻が高い」 — 精選版が①の語義に「得意なさまである。誇らしい。自慢らしい」を並べ、初出の実例に評判記『色道大鏡』(1678)の「此客鼻たかくなりて」、続けて夏目漱石『吾輩は猫である』(1905‐06)を挙げること、②に「鼻梁が高い」を別語義として立てることの確認。語源の説明はどの辞典も置いておらず、西洋の turn up one's nose と結びつける記述も無い
  • Weblio「鼻が高い」 — 隠語大辞典がこの語を「天狗に同じ」と説くことの確認(自慢げに響く含みが残ることの裏づけ)
  • Weblio「鼻を折る」 — デジタル大辞泉が「おごる心をくじく。得意がっている者をへこませて、恥をかかせる」とすることの確認(「鼻が高い」と表裏をなす言い方)

編集の基本参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年

関連する慣用句

慣用句

鼻を折る

はなをおる

得意になっている人や傲慢な人の自尊心を打ち砕き、高飛車な態度を矯正すること。驕り高ぶった者を一撃で謙虚にさせる行為を指す表現。「鼻」が自尊心・誇りの象徴であることから、その鼻を「折る」ことで相手の驕りや慢心を打ち砕くイメージ。英語の「to take someone down a peg or two(上から引きずりおろす)」に対応する。「鼻が高い」と対照的な関係にある慣用句。

四字熟語

傲岸不遜

ごうがんふそん

おごり高ぶって人を見下し、へりくだる気持ちがないこと。

慣用句

胸を張る

むねをはる

自信を持って堂々とすること。誇りを持つこと。

慣用句

へそを曲げる

へそをまげる

機嫌を損ねて意地を張ること。些細なことで不機嫌になり、素直でなくなる様子を表す言葉。子どもっぽい反応や、些細な怒りから意固地になる態度を批判的あるいはやや滑稽に指す場合が多い。「へそ」が体の中心(物事の核心)の象徴として使われることから、その中心が歪む(曲がる)ことで態度や気持ちが素直でなくなる状態を表す。大人に対して使うときにはやや批判的なニュアンスが伴う。

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相手の行いや人柄に対して深く感心し、心から尊敬の念を抱くこと。思わず頭を下げるほどの感動と敬意を感じる様子を表す言葉。特に、長年の献身的な努力や無私の奉仕、困難な状況での毅然とした姿勢に触れたときに使われる表現。単なる「尊敬する」よりも強い感情的な感銘を含み、体が自然に反応してしまうほどの感動のニュアンスがある。

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相手の言い間違い、言葉尻、表現上の小さな不備だけを取り上げ、主張の筋とは別の所で責めたりからかったりすること。否定的な評価を伴う慣用句で、相手の誤りを正確に直すことすべてを指すわけではない。たとえば数字の桁違いが結論を変えるなら、それは必要な訂正であって「揚げ足を取る」ではない。論点に関わらない一語だけを何度も責め、相手を言い負かすことが目的になったときに使う。会議や文章の検討では、「表現より結論の根拠を確認しよう」と本筋へ戻す言い方を選ぶと、揚げ足取りになりにくい。

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喉から手が出る

のどからてがでる

欲しくてたまらないこと。手に入れたい気持ちを抑えきれず、体のほうが先に動き出しそうなほど強い欲求を表す。品物だけでなく、人材・情報・時間など形のないものにも使う。「喉から手が出るほど」の形で程度を強める使い方が大半で、「喉から手が出た」と言い切る形はまず使わない。欲しがっている当人の切実さを言う言葉なので、他人の欲を責める場面には向かない。

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自分の実力を試したくてうずうずすること。力を発揮したくてたまらないこと。

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