顔が広い
かおがひろい
慣用句の意味
多方面に知り合いや人脈が多く、社会的なコネクションが豊富であること。さまざまな業界や分野に顔がきく人物を表す言葉。「顔」が日本語で「社会的な認知・存在感」を意味することから、その顔が「広い」ことで多くの人間関係を持っていることを表す。日本のビジネス文化では人脈が仕事の機会を左右することも多く、「顔が広い」人は頼りになる存在として評価される。「顔が売れる」が不特定多数への知名度を指すのとは異なる。
言葉の成り立ち
「顔(かお)」は日本語において「社会的な存在・名前・認知度」を象徴する言葉として慣用句に多く登場する(「顔が売れる」「顔が立つ」「顔を潰す」など)。「顔が広い」の「広い」は、認知される範囲が広いことを指し、多くの場所・業界・人々に自分の「顔(存在)」が知られているという意味になる。つまり、広い範囲に知人・友人・仕事上の関係者がいる人を「顔が広い」と表現する。日本のビジネス文化では人脈(ネットワーク)が仕事の機会を左右することも多く、「顔が広い」人は何かと頼りになる存在として評価される。「顔」を使った慣用句の中で「顔が広い」(多くの人に知られている対人ネットワーク)と「顔が売れる」(一般的な知名度の高さ)は似ているようで異なる。「顔が広い」は対人的なネットワークの広さ・関係性の深さを指し、「顔が売れる」は不特定多数への認知度を指す点で区別される。
用例
- “彼は業界を超えて顔が広く、どんな問題でも「知り合い」に相談できる。”
- “地元の商店街で顔が広いおじさんに頼んだら、あっという間に解決した。”
- “政界・財界・メディアと顔が広い彼女は、パーティーでは常に中心にいる。”
- “顔が広い人脈を活かし、新卒で大手企業への転職を実現させた。”
- “地域の顔役として顔が広い町会長は、住民から頼りにされている。”
似た慣用句
対になる慣用句
英語表現
To have a wide network; To know a lot of people; To have extensive connections
使う場面
参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年
関連する慣用句
鼻が高い
はながたかい
誇りに思うこと、自慢に思うこと。特に、自分の身内や親しい人の成果・成功を誇りに思う場合によく使う表現。自慢げな様子や得意顔を表す言葉でもあり、正当な誇りや名誉感を示す場合に使われる。否定的なニュアンスは薄く、他者の活躍を自分のことのように誇らしく感じる場面で多く用いられる。英語の「to hold one's head high」や「to be proud」に対応する慣用句。
十人十色
じゅうにんといろ
人はそれぞれ好みや考え方が違うということ。十人いれば十通りの個性があること。多様性を認め、他者との違いを自然なものとして肯定する表現。価値観・趣味・意見の違いを指摘したり、その違いを受け入れる文脈で使われる。「こう考えるのが普通だ」という思い込みを諌めるときや、意見の多様さを示すときにも引用される。
目は口ほどにものを言う
めはくちほどにものをいう
目つきや表情は、口で言う言葉と同じくらい気持ちを伝えるものだということ。
大器晩成
たいきばんせい
本当に大きな才能や人物は、早くに頭角を現すよりもじっくり時間をかけて大成するということ。老子の哲学に基づく言葉で、若いうちから目立たなくても将来的に大きく花開く可能性を示す。早熟な才能より時間をかけて育つ大きな器の価値を説く。「若い頃は目立たなくていい」という励ましの意味で使われることが多く、早期に結果を求める現代社会への静かな反論としての意味合いも持つ。
口が堅い
くちがかたい
秘密をよく守り、余計なことを言わないこと。
胸を張る
むねをはる
自信を持って堂々とすること。誇りを持つこと。
言わぬが花
いわぬがはな
すべてを言葉にして伝えるよりも、あえて口にしない方が奥ゆかしさや趣があり、相手への配慮にもなるということ。知っていても言わない、感じていても表に出さない——その沈黙の中にこそ言葉を超えた余韻と品格があるという日本的な感覚を表す。能楽の「秘すれば花なり」の美意識にも通じる表現で、情報の全開示が必ずしも最善ではないという含意も持つ。
質実剛健
しつじつごうけん
飾り気がなく誠実で、心身ともに強くたくましいこと。「質実」は内面の誠実さを、「剛健」は外見・体力の強さを表す。日本では主に教育の精神や理想的な人物像を表す際に用いられ、特に旧制学校の校訓として広く用いられた。現代でも体育会系の部活動や伝統的な職人文化において、質実剛健を体現した人物が尊ばれる傾向がある。外見よりも中身・実力で勝負する生き方を象徴する語として定着している。