言葉辞典
ことわざ

十人十色

じゅうにんといろ

ことわざの意味

人はそれぞれ好みや考え方が違うということ。十人いれば十通りの個性があること。多様性を認め、他者との違いを自然なものとして肯定する表現。価値観・趣味・意見の違いを指摘したり、その違いを受け入れる文脈で使われる。「こう考えるのが普通だ」という思い込みを諌めるときや、意見の多様さを示すときにも引用される。

言葉の由来

「十人十色」は日本語独自の表現で、江戸時代以降に広まったとされる。人間の多様性を具体的な数字で表した表現で、「百人百様(ひゃくにんひゃくよう)」「千差万別(せんさばんべつ)」などと同系統。「十」は実際に十人を指すのではなく、「多数」を象徴する慣用的な数字として使われている。「色」はここで個性や種類を表す。英語の "Different strokes for different folks"(人それぞれ好みがある)や "To each their own"(それぞれのやり方で)に相当する。現代では個性や多様性を尊重する文脈でよく使われ、教育や職場での多様性(ダイバーシティ)の議論でも引用される。使い分けの注意:「十人十色」は価値観・好みの多様性を認める、やや肯定的なニュアンスが強い。「千差万別」はより広い範囲の差異に使い、物事の種類が多様であることを客観的に指す場面でも使える。

使い方の例

  • 音楽の好みは十人十色だから、全員が満足するプレイリストは難しい。
  • 十人十色というように、同じ映画を観ても感じ方は人それぞれだ。
  • 部下の働き方も十人十色。一律のルールで縛るのではなく、個性を活かした管理が大切だ。
  • 子育ての方法も十人十色。他の家庭と比べて焦る必要はない。
  • ファッションの感覚は十人十色。自分のスタイルを持つことが大切だ。

似たことわざ

千差万別百人百様各人各様人それぞれ

対のことわざ

画一的横並び金太郎飴

英語の表現

Different strokes for different folks; to each their own. Ten people, ten colors — everyone has their own preferences and personality.

使う場面

日常会話多様性・個性教育ビジネス

参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年

関連することわざ

故事成語

五十歩百歩

ごじっぽひゃっぽ

差はあっても本質的には同じであること。程度の違いがあっても、どちらも同じような欠点や問題を抱えており、本質的な差はないことを指す。一方が他方を批判しても「お互い様だ」と返せる状況に使う。自他を問わず「どっちも五十歩百歩だ」と言いたいときに使われ、批判や揶揄のニュアンスを含むことが多い。表面的な差異に意味がないと示したいときに有効な表現。

慣用句

顔が広い

かおがひろい

多方面に知り合いや人脈が多く、社会的なコネクションが豊富であること。さまざまな業界や分野に顔がきく人物を表す言葉。「顔」が日本語で「社会的な認知・存在感」を意味することから、その顔が「広い」ことで多くの人間関係を持っていることを表す。日本のビジネス文化では人脈が仕事の機会を左右することも多く、「顔が広い」人は頼りになる存在として評価される。「顔が売れる」が不特定多数への知名度を指すのとは異なる。

四字熟語

優柔不断

ゆうじゅうふだん

ぐずぐずとして決断力に欠けること。「優柔」は気が弱く柔らかい性格を、「不断」は決断できないことを指す。性格的な特徴として用いられることが多く、批判的なニュアンスを帯びる。重要な局面で決断を先延ばしにする傾向を表す言葉。リーダーや上司に用いると批判的なニュアンスが強くなるため、使う場面と相手関係には注意が必要。反省や自省の文脈でも「自分の優柔不断を克服する」という形で使われる。

四字熟語

七転八倒

しちてんばっとう

激しい苦しみや痛みのために、転げ回ってもがき苦しむ様子。身体的な激痛(腹痛・打撲など)だけでなく、精神的な苦悩で途方に暮れる状態にも使う。「七転び八起き(七転八起)」が不屈の精神を表すのとは異なり、こちらは苦しみそのものを表す。似た言葉に「七転八起(しちてんはっき)」があり、七転八起は転んでも立ち上がる不屈の精神を表すが、七転八倒はもがき苦しむ状態そのものを強調する点で異なる。

四字熟語

不言実行

ふげんじっこう

言葉で言わずに黙って実行すること。日本の伝統的な美徳の一つで、口先だけで何も行動しない人間より、黙って実際に動く人間を評価する価値観を表す。武士道・禅の精神とも関連し、「有言実行」と対をなす言葉。不言実行とは対照的な「有言実行」と対で語られることが多く、日本の職人や武士が体現してきた「言葉より行動」という価値観の根幹を表している。現代でも口先だけの人物への批判文脈で頻用される。

ことわざ

一を聞いて十を知る

いちをきいてじゅうをしる

一つのことを聞いただけで、その他の多くのことまで理解できるほど賢いこと。

四字熟語

一視同仁

いっしどうじん

すべての人を平等に見て、分け隔てなく同じように慈しむこと。

四字熟語

一石二鳥

いっせきにちょう

一つの行動で二つの利益や目的を同時に達成すること。英語の諺「kill two birds with one stone」に対応する表現で、日本語でも効率的な方法や偶然の副次的効果を表す。単なる効率化だけでなく、予期せぬ副次的利益が生じた場合にも使う。「一挙両得(いっきょりょうとく)」が漢語系の同義語として並行して使われており、改まった文脈では「一挙両得」が好まれることもある。一石二鳥はより口語的・日常的な表現。

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