言葉辞典
四字熟語

質実剛健

しつじつごうけん

四字熟語の意味

飾り気がなく誠実で、心身ともに強くたくましいこと。「質実」は内面の誠実さを、「剛健」は外見・体力の強さを表す。日本では主に教育の精神や理想的な人物像を表す際に用いられ、特に旧制学校の校訓として広く用いられた。現代でも体育会系の部活動や伝統的な職人文化において、質実剛健を体現した人物が尊ばれる傾向がある。外見よりも中身・実力で勝負する生き方を象徴する語として定着している。

由来・語源

「質実」は中国の儒教の経典『論語』雍也篇の「質勝文則野、文勝質則史、文質彬彬、然後君子」(質が文を凌げば野となり、文が質を凌げば史となる。文質ともに備わってこそ君子)に見える「質」の概念を受け継ぐ語。「剛健」は身体・精神が強固であることを意味する漢語。明治期、日本の近代教育が整備される中で、外見を飾ることより内実を重んじ、身体を鍛える精神的・体育的な教育目標として「質実剛健」が重んじられた。特に旧制高校(ナンバー・スクール)の気風を表す語として定着し、東京帝国大学・京都帝国大学の寮文化や陸軍士官学校などでも用いられた。現代では企業理念・組織文化・部活動の方針などでも使われる。現代でも企業や学校・組織の理念として多く見られる語であり、特に地方の老舗企業や伝統的な学校の校訓に今日もしばしば掲げられている。

用例

  • 質実剛健を旨とする校風のもとで育った彼は、虚飾を嫌い行動力を重んじる。
  • 質実剛健な人柄が評価され、彼女は入社三年目にして責任者に抜擢された。
  • 「質実剛健」を社訓に掲げるこの会社は、バブル期でも地道な経営を続けた。
  • 旅行でも豪華ホテルより民宿を好む質実剛健なスタイルが、彼の持ち味だ。
  • 質実剛健な武人の物語に、若者たちは心を揺さぶられた。

類義の四字熟語

実直(じっちょく)剛毅(ごうき)堅実(けんじつ)地味だが力強い

対義の四字熟語

虚飾(きょしょく)軟弱(なんじゃく)華美(かび)

英語訳

"Earnest and robust." / "Simple and vigorous."

使うシーン

教育人物評ビジネス受験頻出

参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 三省堂編修所 編『新明解四字熟語辞典 第二版』三省堂, 2020年

関連する四字熟語

四字熟語

不言実行

ふげんじっこう

言葉で言わずに黙って実行すること。日本の伝統的な美徳の一つで、口先だけで何も行動しない人間より、黙って実際に動く人間を評価する価値観を表す。武士道・禅の精神とも関連し、「有言実行」と対をなす言葉。不言実行とは対照的な「有言実行」と対で語られることが多く、日本の職人や武士が体現してきた「言葉より行動」という価値観の根幹を表している。現代でも口先だけの人物への批判文脈で頻用される。

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有言実行

ゆうげんじっこう

口で言ったことを必ず実行すること。言葉と行動が一致する誠実さ・責任感を表す。「不言実行」が「黙って実行する」美徳を説くのに対し、こちらは「宣言した以上は必ず成し遂げる」という意志の強さを重んじる。現代のリーダーシップ論でも評価される資質。有言実行の人は「宣言責任」を自分に課しており、言った以上は後戻りできないという心理的プレッシャーが行動力につながるとも言われる。

故事成語

切磋琢磨

せっさたくま

仲間や同志と互いに刺激を与え合い、競い合いながら学問・技術・人格を高め合うこと。「切磋」は骨や象牙を切り磨くこと、「琢磨」は玉や石を削り磨くことを意味し、地道な研鑽を経てこそ輝きが生まれるという含意を持つ。一人で黙々と努力するよりも優れた仲間と互いに高め合う過程に豊かさがあるという思想を体現した言葉である。

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優柔不断

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温故知新

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以前に学んだことをよく復習して新しい知識・見解を見出すこと。孔子が真の師たるべき資格として説いた言葉で、単なる知識の蓄積ではなく、過去の学びを現在の問いに照らし合わせることで新しい発見を得る知的姿勢を指す。現代では歴史や先人の知恵から現代的な解決策を見出す姿勢を表すのにも使われる。一方的な知識の蓄積でなく、問い直しと再解釈を重んじる。

ことわざ

継続は力なり

けいぞくはちからなり

何事も根気強く続けることで、やがて大きな力や成果が生まれるということ。小さな努力も積み重なれば無視できない力になり、継続すること自体が能力を育てる。才能の有無にかかわらず、諦めずに続ける姿勢こそが実力の土台になるという意味を含む。大正時代の浄土宗僧侶・住岡夜晃の詩に由来するとされ、宗教的には人格形成と精進の意味合いも持つ。

四字熟語

温厚篤実

おんこうとくじつ

性格が穏やかで情に厚く、誠実であること。

故事成語

名を惜しむ

なをおしむ

自分の名誉や評判を大切にすること。体裁や面目を傷つけることを極度に嫌がることを指す。

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