質実剛健
しつじつごうけん
四字熟語の意味
飾り気がなく誠実で、心身ともに強くたくましいこと。「質実」は内面の誠実さを、「剛健」は外見・体力の強さを表す。日本では主に教育の精神や理想的な人物像を表す際に用いられ、特に旧制学校の校訓として広く用いられた。現代でも体育会系の部活動や伝統的な職人文化において、質実剛健を体現した人物が尊ばれる傾向がある。外見よりも中身・実力で勝負する生き方を象徴する語として定着している。
由来・語源
四字の前半「質実」は中身が誠実で飾らないこと、後半「剛健」は丈夫で強くたくましいことを指し、二語を重ねた形である。辞典はこの四字全体を、飾り気がなく心身ともに強くたくましいさまと解く。順を入れ替えた「剛健質実」の形も辞典に載る。漢籍の典拠を挙げる辞典は今回あたった範囲では見あたらず、出典は未詳とみるほかない。たどれるのは日本語での使われ方で、『精選版 日本国語大辞典』は徳富蘇峰『時務一家言』(1913年)が大和民族の気質を論じた一節を初出に挙げる。以後この語は学校の気風を語る言葉として定着し、『デジタル大辞泉』は用例に「質実剛健の校風」を掲げる。三島由紀夫『仮面の告白』(1949年)には、軍人向けの教育が学校に及び「質実剛健」の遺訓のもとで派手なマフラーや靴下が禁じられた、という回想がある。初出も定着の場も明治末以降の日本の教育・軍隊をめぐる文脈にあり、そこを飛び越えて古い漢籍に由来を求める書き方は、今の資料では裏づけが取れない。
用例
- “質実剛健を旨とする校風のもとで育った彼は、虚飾を嫌い行動力を重んじる。”
- “質実剛健な人柄が評価され、彼女は入社三年目にして責任者に抜擢された。”
- “「質実剛健」を社訓に掲げるこの会社は、バブル期でも地道な経営を続けた。”
- “旅行でも豪華ホテルより民宿を好む質実剛健なスタイルが、彼の持ち味だ。”
- “質実剛健な武人の物語に、若者たちは心を揺さぶられた。”
類義の四字熟語
対義の四字熟語
英語訳
"Earnest and robust." / "Simple and vigorous."
使うシーン
参考文献
このページで確認した資料
意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。
- コトバンク「質実剛健」 — 精選版が徳富蘇峰『時務一家言』(1913)を初出に挙げること、デジタル大辞泉の用例が「質実剛健の校風」であること、四字熟語を知る辞典が三島由紀夫『仮面の告白』(1949)の軍人向教育の一節を使用例に置くことの確認。漢籍の典拠は3辞典とも示していない
- 四字熟語辞典オンライン「質実剛健」 — 「質実」「剛健」それぞれの語義と、「剛健質実」という異形の確認。出典欄は設けられていない
- 漢字ペディア「質実剛健」 — 内実があって飾り気がなく心身ともに強くたくましい語義と、「剛健質実」ともいう旨の確認
編集の基本参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 三省堂編修所 編『新明解四字熟語辞典 第二版』三省堂, 2020年
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