言葉辞典
故事成語

名を惜しむ

なをおしむ

故事成語の意味

自分の名誉や評判を大切にすること。体裁や面目を傷つけることを極度に嫌がることを指す。

故事の由来

中国古典に由来するとされ、武士道精神とも融合して日本に根付いた。名誉や信義を命よりも重んじる東アジアの伝統的価値観を背景にする。「名」は単なる名声ではなく、人格の証明そのものを指す。

用例

  • “名を惜しんで不正を断り、地位を失った。”
  • “名を惜しむ人間は、短期的な利益よりも長期的な信用を選ぶ。”
  • “名を惜しむ精神が、誠実なビジネスの基盤となる。”

類義の故事成語

名誉を重んじる体裁を気にする

対義の故事成語

名を捨てる恥を知らない

英語訳

Guard one's reputation; be jealous of one's honor

使うシーン

スピーチ日常会話

参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年

関連する故事成語

故事成語

刎頸の交わり

ふんけいのまじわり

首を刎ねられても後悔しないほどの、深く固い友情のこと。命を捨てても惜しくないほどの親密な交友関係を指す。

慣用句

肩身が狭い

かたみがせまい

周囲に対して引け目を感じ、居心地が悪いこと。面目が立たないこと。

故事成語

一諾千金

いちだくせんきん

一度した約束は必ず守ること。一度の承諾が千金に値するほど重みがあることを指す。

ことわざ

羹に懲りて膾を吹く

あつものにこりてなますをふく

一度の失敗に懲りて、必要以上に用心深くなること。

ことわざ

口は災いの元

くちはわざわいのもと

不用意な発言や軽はずみな言葉が、本人にとって予期せぬ災難や困難を引き起こす原因となることがある。言葉はひとたび口から出ると取り消すことができないため、発言には十分な注意が必要であるという教訓。怒りや感情的な状態での言葉、機密の漏洩、場をわきまえない一言に対する戒めであり、SNS全盛の現代においてこの教訓はより一層重みを増している。

ことわざ

人の褌で相撲を取る

ひとのふんどしですもうをとる

他人が用意した物・資金・アイデア・労力を利用し、自分の成果や利益にすること。特に、自分では相応の準備や負担をせず、手柄や利益だけを得ようとする不公平な態度を批判するときに使う。人に助けてもらうこと自体を責める語ではない。許可を得て協力し、貢献者を明記して負担と成果を分けるなら、この語で非難する場面とは言いにくい。ただし、形式上の許可があっても配分が不公平なら、文脈によっては当てはまる。「虎の威を借る狐」は他人の権威を後ろ盾にして威張ること、「付和雷同」は自分で考えず意見に従うことが中心である。

ことわざ

言わぬが花

いわぬがはな

すべてを言葉にして伝えるよりも、あえて口にしない方が奥ゆかしさや趣があり、相手への配慮にもなるということ。知っていても言わない、感じていても表に出さない——その沈黙の中にこそ言葉を超えた余韻と品格があるという日本的な感覚を表す。能楽の「秘すれば花なり」の美意識にも通じる表現で、情報の全開示が必ずしも最善ではないという含意も持つ。

ことわざ

急いては事を仕損じる

いそいではことをしそんじる

何事も焦って急ぐと失敗しやすいということ。急ぎすぎると注意力が散漫になり、手順を飛ばしたり確認を怠ったりして、かえって手直しや取り返しに時間がかかってしまう。「急いては」は「急いで行動すれば」という仮定の表現、「仕損じる」は「やり損ねる・失敗する」の意。物事に落ち着いて取り組むことの大切さを説く、日本の代表的なことわざのひとつ。

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