有言実行
ゆうげんじっこう
四字熟語の意味
口に出して言ったことを必ず実行すること。精選版日本国語大辞典は「言ったことは必ず実行する」に加えて「格別に言いたてて事を行なう」意も挙げており、常に褒め言葉とは限らない。わざわざ宣言してから動く態度そのものを指す場合がある。黙って結果を出す「不言実行」と対にして語られ、決意表明や公約をやり遂げた人を評するときに使う。宣言だけで終われば「有言不実行」と呼ばれる。
由来・語源
この語は「不言実行」を下敷きにし、その頭をひっくり返して作られた。デジタル大辞泉は《「不言実行」からつくられた語》と明記し、精選版日本国語大辞典と四字熟語を知る辞典も同じ説明を置く。つまり先にあるのは「不言実行」のほうで、「有言不実行」という語が先にあってその対義から生まれた、という説明には辞書の裏づけがない。 「有言」は言葉に出して宣言すること、「実行」は実際に行うことで、字面のとおりに読める語である。主要な国語辞典は、この語の語源を上のように説くだけで、出典となる文献も初出例も載せていない。ウィクショナリー日本語版が挙げる早い用例は1924年(大正13年)の大阪毎日新聞の記事で、近代に入ってからの新しい語であることがうかがえる。
用例
- “大会前に「絶対に優勝する」と宣言した彼は有言実行し、本当に頂点に立った。”
- “有言実行こそリーダーの基本。言ったことは必ず実現する覚悟が必要だ。”
- “彼女は面接で「三ヶ月で売上を倍にします」と言い、有言実行してみせた。”
- “有言実行の人は周りから信頼されるが、口だけで終われば逆効果になる。”
- “不言実行も美徳だが、現代のチームでは有言実行のほうが仲間も動きやすい。”
類義の四字熟語
対義の四字熟語
英語訳
"Practice what you preach." / "Walk the talk."
使うシーン
参考文献
このページで確認した資料
意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。
- コトバンク「有言実行」 — デジタル大辞泉が《「不言実行」からつくられた語》、精選版が「「不言実行」をもじって作られた語」、四字熟語を知る辞典も同じ解説を置くことの確認(先行するのは不言実行であり、「有言不実行が先にあった」という説明は辞書に無い)。精選版が「格別に言いたてて事を行なう」意も挙げること、いずれも初出の実例を載せていないことも確認
- Weblio「有言実行」 — ウィクショナリー日本語版が語源を「不言実行を捩って作られた語」とし、早い用例に1924年(大正13年)大阪毎日新聞「移民の必要とその理想」を挙げることの確認
編集の基本参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 三省堂編修所 編『新明解四字熟語辞典 第二版』三省堂, 2020年
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関連する四字熟語
不言実行
ふげんじっこう
言葉や理屈を並べ立てず、やるべきことを黙って片づけること。デジタル大辞泉の語釈は「文句や理屈を言わずに」と限定しており、口をきかないことそのものを褒める語ではない。弁解や宣言に費やす言葉を省き、結果で示す態度を指す。人物評として「不言実行の人」の形で使い、口先だけの相手と対比する文脈に置かれることが多い。後から作られた「有言実行」と対で語られるが、先にある語はこちらである。
大言壮語
たいげんそうご
実力以上の大きなことを言うこと。できもしないことを偉そうに言うこと。
善は急げ
ぜんはいそげ
よいと思ったことは、ためらわずすぐに実行すべきだということ。
言わずもがな
いわずもがな
「言わずもがな」は、言う必要がないほど明らかなこと。また、かえって口に出さないほうがよいことを指す。「彼の経験は言わずもがな」なら当然の前提として添えるが、「言わずもがなの一言」なら余計な発言の意味だ。「言うまでもない」は前者に限られ、「言わぬが花」は後者の沈黙をよしとする。迷ったら、文の後ろに「もちろん」が入るか、「言わなければよかった」が入るかで二つの用法を読み分ける。
沈黙は金
ちんもくはきん
「雄弁は銀、沈黙は金」の後半だけが独り歩きした言い方で、黙っていることのほうが優れた弁舌よりも価値を持つ場合がある、ということ。口を閉ざしさえすれば偉いという語ではない。辞典の語釈が重く見るのは、沈黙すべき時とその効き目を心得ている判断のほうで、言葉を尽くすべき場面で黙り込むのは、この語が褒める沈黙ではない。言い返さずにおいて場が収まる、余計な一言を飲み込んで信用を保つ——そうした場面で使う。
歯に衣着せぬ
はにきぬきせぬ
相手への遠慮や気遣いをせず、思ったことをそのまま率直に言うこと。相手が聞いて不快に感じることも、ためらわずに直接言う様子を表す。率直さが美徳として機能する文脈では褒め言葉として使われ、無遠慮さや失礼さを指摘する文脈では否定的な意味合いを帯びる。「衣」は絹ではなく衣服の「きぬ」を指し、「歯に絹着せぬ」と書くのは誤記とされる。
一念発起
いちねんほっき
ある物事を成し遂げようとはっきりと心に決意すること。仏教で菩提心を起こすことを「発起」と言い、そこに「一念」(一途な思い)を組み合わせた表現が日常語に転じた。現代では「よし、やろう」という前向きな決意を表す。特に年度の変わり目・転職・失敗の直後など、人生の節目に用いることが多い。心機一転と異なり、最初の一歩を明確に踏み出すニュアンスが強いため、具体的な行動開始を宣言する場面に向く。
言わぬが花
いわぬがはな
すべてを言葉にして伝えるよりも、あえて口にしない方が奥ゆかしさや趣があり、相手への配慮にもなるということ。知っていても言わない、感じていても表に出さない——その沈黙の中にこそ言葉を超えた余韻と品格があるという日本的な感覚を表す。能楽の「秘すれば花なり」の美意識にも通じる表現で、情報の全開示が必ずしも最善ではないという含意も持つ。