大器晩成
たいきばんせい
四字熟語の意味
本当に大きな才能や人物は、早くに頭角を現すよりもじっくり時間をかけて大成するということ。老子の哲学に基づく言葉で、若いうちから目立たなくても将来的に大きく花開く可能性を示す。早熟な才能より時間をかけて育つ大きな器の価値を説く。「若い頃は目立たなくていい」という励ましの意味で使われることが多く、早期に結果を求める現代社会への静かな反論としての意味合いも持つ。
由来・語源
中国の思想書『老子』(道徳経)第四十一章に「大方無隅、大器晩成、大音希声、大象無形」(大いなる方形には角がなく、大いなる器はゆっくり成る、大いなる音は耳に聞こえず、大いなる形は目に見えない)とある。老子の逆説的な表現で、最も完成された存在はその完成がゆっくりであるほど大きいという逆説を述べている。日本には『老子』とともに伝わり、奈良・平安期以降に使われた。中国では「大器晩成」は歴史上の実例(劉邦・曹操らの逸話)とともに語られることが多い。日本でも江戸時代以降、「若い頃に目立たなかった人が後に大成する」という励ましの意味で広く使われるようになった。現代では晩年に開花した芸術家・研究者・起業家の話に引き合いに出されることが多い。
用例
- “学生時代は目立たなかった彼も大器晩成で、今では業界を代表する技術者になった。”
- “大器晩成という言葉通り、彼女はデビュー15年目にして初のベストセラーを出した。”
- “大器晩成を信じて地道に腕を磨いてきた職人が、ついに名人と呼ばれるようになった。”
- “子どもが他の子より成長が遅くて心配なら、大器晩成を信じてゆっくり見守ることも大切だ。”
- “大企業で長年下積みを続けた彼は、五十代になってから事業部長に抜擢され大器晩成を体現した。”
類義の四字熟語
対義の四字熟語
英語訳
"Great talents are slow in maturing." / "A late bloomer."
使うシーン
参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 三省堂編修所 編『新明解四字熟語辞典 第二版』三省堂, 2020年
関連する四字熟語
大言壮語
たいげんそうご
実力以上の大きなことを言うこと。できもしないことを偉そうに言うこと。
千里の道も一歩から
せんりのみちもいっぽから
どんなに大きな事業や遠い目標でも、まず身近なことから着実に始めることが大切だということ。始めることの重要性と、一歩一歩の積み重ねを説く表現。壮大な計画の前に及び腰になっている人への励まし、あるいは行動を促す言葉として使われる。長い旅も足元の一歩からというイメージが明快で、動き出すことを後押しする力がある。
臥龍
がりょう
まだ世に出ていないが、いずれ大活躍するに違いない人物のこと。潜在的な力を秘めた人物・英雄を指す。
継続は力なり
けいぞくはちからなり
何事も根気強く続けることで、やがて大きな力や成果が生まれるということ。小さな努力も積み重なれば無視できない力になり、継続すること自体が能力を育てる。才能の有無にかかわらず、諦めずに続ける姿勢こそが実力の土台になるという意味を含む。大正時代の浄土宗僧侶・住岡夜晃の詩に由来するとされ、宗教的には人格形成と精進の意味合いも持つ。
塵も積もれば山となる
ちりもつもればやまとなる
わずかなものでも、積み重なれば大きなものになるということ。小さな努力・節約・積み立てを継続することの大切さを説く。毎日の些細な行動でも長く続ければ大きな成果を生むという教えで、貯蓄・学習・訓練など、地道な継続を励ます文脈でよく使われる。小さなことを軽視しないよう促す意味合いも含み、日々の習慣の力を示す表現。
切磋琢磨
せっさたくま
仲間や同志と互いに刺激を与え合い、競い合いながら学問・技術・人格を高め合うこと。「切磋」は骨や象牙を切り磨くこと、「琢磨」は玉や石を削り磨くことを意味し、地道な研鑽を経てこそ輝きが生まれるという含意を持つ。一人で黙々と努力するよりも優れた仲間と互いに高め合う過程に豊かさがあるという思想を体現した言葉である。
他山の石
たざんのいし
他の山から採れたつまらない石でも、玉を磨くのに役立てることができる。転じて、他人の過ちや欠点も自分の修養・向上の参考になるということ。悪い例からも学べるという教えで、他人の失敗を反面教師とする姿勢を表す。ただし本来の意味は「他人の言動や意見を自分の向上に役立てる」という中立的なものでもある。自分の向上に役立てるという中立的なニュアンスも持ち、反面教師よりもやや広い文脈で使える語。
一将功成りて万骨枯る
いっしょうこうなりてばんこつかる
一人の将軍が功績を立てる陰には、多くの兵士が命を落としているということ。栄光の裏には無数の犠牲があることを指す。