言葉辞典
慣用句

目くじらを立てる

めくじらをたてる

慣用句の意味

人の欠点や小さな誤りを探し出し、わずかな事を取り立てて強く非難すること。単に誤りを指摘したり、厳しく注意したりすること全部を指すのではない。この辞典での使い分けの目安としては、安全、金額、結論を左右する誤りを具体的に直すのは必要な訂正である。誤りの小ささに比べて、相手を責めることや粗を探すことが前へ出たときに、この慣用句が合う。言葉尻を攻めるなら「揚げ足を取る」、怒った目つきそのものなら「目を三角にする」が近い。誰かの抗議を「目くじら」と呼ぶ側にも、問題を小さく見せる働きがある。何が些細なのかを確かめて使いたい。

言葉の成り立ち

「目くじら」は目の端、目尻、または怒った目つきをいう。精選版日本国語大辞典の「目くじら」項は「くじら」の語源を未詳としている。日本語検定の解説は動物の鯨ではないとしているが、確定した語源を示す資料は見当たらない。目の端をつり上げる険しい表情から、相手の欠点を探して責め立てる行為を表すようになった。コトバンクに収録された同辞典の「目くじらを立てる」項は、1727年頃の『政談』に「一々目くじらを立て悪事を見出す様にするときは」という早い用例を挙げ、1753年の『当風辻談義』にも用例を載せる。すでに江戸時代中期には、ただ怒るだけでなく、細かな悪事や欠点を見つけてとがめる意味で使われていたことが分かる。「目くじりが変化した」とする説明もあるが、ここでは確定した成り立ちとは断言しない。

用例

  • 報告書の誤字一つに目くじらを立てるより、結論を左右する数字を先に確かめよう。
  • 安全表示の間違いを直すのは、目くじらを立てることではなく必要な訂正だ。
  • 子どもの言い間違いに毎回目くじらを立てると、話そうとする気持ちまでしぼんでしまう。
  • 会議で表現の細部ばかりに目くじらを立てず、提案の条件を検討した。
  • その抗議を目くじらだと片付ける前に、見過ごせない不利益がないか確かめたい。

似た慣用句

粗探しをする難癖をつける揚げ足を取る

対になる慣用句

大目に見る寛容に受け止める目をつぶる

英語表現

To find fault with someone or make an issue of a minor flaw; to nitpick.

使う場面

批判対人ビジネス日常会話

参考文献

このページで確認した資料

意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。

用法を考える際に参照した読者の疑問

ここは言葉を選ぶ人の迷いを知るための資料で、語義そのものの根拠にはしていません。

編集の基本参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年

関連する慣用句

慣用句

揚げ足を取る

あげあしをとる

相手の言い間違い、言葉尻、表現上の小さな不備だけを取り上げ、主張の筋とは別の所で責めたりからかったりすること。否定的な評価を伴う慣用句で、相手の誤りを正確に直すことすべてを指すわけではない。たとえば数字の桁違いが結論を変えるなら、それは必要な訂正であって「揚げ足を取る」ではない。論点に関わらない一語だけを何度も責め、相手を言い負かすことが目的になったときに使う。会議や文章の検討では、「表現より結論の根拠を確認しよう」と本筋へ戻す言い方を選ぶと、揚げ足取りになりにくい。

慣用句

へそを曲げる

へそをまげる

機嫌を損ねて意地を張ること。些細なことで不機嫌になり、素直でなくなる様子を表す言葉。子どもっぽい反応や、些細な怒りから意固地になる態度を批判的あるいはやや滑稽に指す場合が多い。「へそ」が体の中心(物事の核心)の象徴として使われることから、その中心が歪む(曲がる)ことで態度や気持ちが素直でなくなる状態を表す。大人に対して使うときにはやや批判的なニュアンスが伴う。

慣用句

足元を見る

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相手の弱みや不利な立場につけ込んで、不当に有利な条件を押し付けること。相手の苦境や困り度合いを見透かして、値段や条件を吊り上げる行為を指す。「足元」とは比喩的に「相手が置かれた立場・状況の底辺」を意味し、そこを見透かして有利に動く様子を表している。駕籠かきが旅人の疲れ具合を見て料金を吊り上げた江戸時代の商習慣に由来する。

ことわざ

目は口ほどにものを言う

めはくちほどにものをいう

目つきや表情は、口で言う言葉と同じくらい気持ちを伝えるものだということ。

ことわざ

弘法にも筆の誤り

こうぼうにもふでのあやまり

どれほど熟練した人、経験を積んだ人でも、ときには書き損じや判断ミスをするということ。優れた相手の小さな失敗を必要以上に責めないときや、自分の失敗を認めて立て直すときに使う。失敗を免罪するための言葉ではなく、名人でも誤るなら、確認と修正を怠らないという含みがある。大きな損害や繰り返した不注意を軽く扱う場面には向かない。

四字熟語

針小棒大

しんしょうぼうだい

小さなことを大げさに言うこと。針ほどの小さなことを棒ほどに大きく言う。

故事成語

逆鱗に触れる

げきりんにふれる

目上の人や権力者の激しい怒りを買うこと。君主や上位者の機嫌を大きく損ねることを指す。

慣用句

足を引っ張る

あしをひっぱる

他人の仕事や努力を妨害したり、成功を阻んだりすること。チームや組織全体の前進を遅らせる邪魔な行為を指す。嫉妬や競争心から、前進しようとしている人を意図的に引き止めようとする様子を表す言葉。意図的な妨害のみならず、結果として足かせになってしまう状況にも使われる。一人の行動が集団全体の動きを鈍らせる場面で特に使われる表現。

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