足元を見る
あしもとをみる
慣用句の意味
相手の弱みや不利な立場につけ込んで、不当に有利な条件を押し付けること。相手の苦境や困り度合いを見透かして、値段や条件を吊り上げる行為を指す。「足元」とは比喩的に「相手が置かれた立場・状況の底辺」を意味し、そこを見透かして有利に動く様子を表している。駕籠かきが旅人の疲れ具合を見て料金を吊り上げた江戸時代の商習慣に由来する。
言葉の成り立ち
江戸時代の駕籠かき(かごかき)の習慣に由来するとされる。旅人が急いでいる様子だったり、足が疲れていたりするときに、駕籠かきは料金を吊り上げることがあった。駕籠かきは客の「足元」の状態——疲れ具合、急いでいるか否か——を観察することで、その人がどれだけ足の便に困っているかを判断し、高い値段を要求した。この「足元を見る」行為が転じて、相手の困り具合や弱みを見透かして値段や条件を吊り上げる行為全般を指す表現となった。「足(あし)」を使った慣用句の中で「揚げ足を取る」が言葉の隙を突くことを意味し、「足を引っ張る」が他者の前進を阻む妨害を指すのに対し、「足元を見る」は相手の実際の弱みや置かれた状況そのものにつけ込む点が異なる。
用例
- “災害直後に宿泊料を数倍に値上げするのは、困っている人の足元を見た行為だ。”
- “転職活動中と知って給与交渉で足元を見てくるような会社には入りたくない。”
- “中古車ディーラーに足元を見られないよう、事前に相場をしっかり調べておいた。”
- “旅行先の繁忙期に法外な価格を要求するホテルは、完全に旅行者の足元を見ている。”
- “独占企業に足元を見られて、消費者が不当な高値を払わされている。”
似た慣用句
対になる慣用句
英語表現
To take advantage of someone's weakness; To exploit someone's vulnerability; To see someone's weakness and act on it
使う場面
参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年
関連する慣用句
揚げ足を取る
あげあしをとる
相手の言葉の些細なミスや言い間違いをとらえて、意地悪く責めたり批判したりすること。議論や会話の本質ではなく、言葉のあら探しに終始する行為を指す。「揚げ足」とは相手が失敗の隙をさらした瞬間を指し、それを巧みに捕まえて攻め込む様子を表す慣用句。建設的な議論を阻む、批判的なコミュニケーションの典型として否定的に使われることが多い。
足を引っ張る
あしをひっぱる
他人の仕事や努力を妨害したり、成功を阻んだりすること。チームや組織全体の前進を遅らせる邪魔な行為を指す。嫉妬や競争心から、前進しようとしている人を意図的に引き止めようとする様子を表す言葉。意図的な妨害のみならず、結果として足かせになってしまう状況にも使われる。一人の行動が集団全体の動きを鈍らせる場面で特に使われる表現。
目くじらを立てる
めくじらをたてる
些細なことをとがめ立てすること。小さな欠点を大げさに責めること。
蛇足
だそく
本来不要なのに余計な付け足しをすること。なくても一向に支障がないのに加えてしまった余分なもの、あるいはその行為を指す。文章・発言・工程設計など、蛇に足を描くことでかえって完成度や本来の価値を損なう場面に広く使われる。余分を削ることで本来の輝きが戻るという逆説的な教訓を示す言葉でもあり、補足に「蛇足ながら」と断る慣用表現としても広く定着している。
目をつぶる
めをつぶる
見て見ぬふりをすること。欠点や過ちを大目に見ること。
驥足を展ばす
きそくをのばす
優れた才能や能力を十分に発揮すること。隠れていた能力が存分に発揮される機会を得ることを指す。
腰を据える
こしをすえる
落ち着いてじっくり物事に取り組むこと。本腰を入れること。
急いては事を仕損じる
いそいではことをしそんじる
何事も焦って急ぐと失敗しやすいということ。急ぎすぎると注意力が散漫になり、手順を飛ばしたり確認を怠ったりして、かえって手直しや取り返しに時間がかかってしまう。「急いては」は「急いで行動すれば」という仮定の表現、「仕損じる」は「やり損ねる・失敗する」の意。物事に落ち着いて取り組むことの大切さを説く、日本の代表的なことわざのひとつ。