気が置けない
きがおけない
慣用句の意味
遠慮や気遣いが不要で、打ち解けられる間柄であること。一緒にいて気を遣わなくてよい、心から安心できる相手を指す肯定的な表現。「気が置けない友人」といえば、気心が知れた親しい友人という意味になる。ただし、「気を遣わせて申し訳ない」「なんとなく信用できない」などの否定的な意味で誤用される例が非常に多く、文化庁の調査では約半数が誤った意味で使っているとされる。誤解が生じやすいため、使う場面では文脈を補うか、言い換えを検討するのが無難。
言葉の成り立ち
もとは「気を置く」という言い回しの否定形である。『精選版 日本国語大辞典』は「気を置く」に二つの語義を立てている。①「相手の気持を気づかう。遠慮する」で、典拠に『詞葉新雅』(1792年)、初出の実例に小栗風葉『青春』(1905〜06年)を挙げる。②は「気を休める。ほっとする」で、こちらに洒落本『雑文穿袋』(1779年)が付く。「気が置けない」はこのうち①の否定で、相手に遠慮をする必要がない、という意味になる。同辞典が「気の置けない」に引く用例は田山花袋『時は過ぎゆく』(1916年)で、この形がいつ広まったかまでは辞書の記述からは確認できない。誤解の広がりのほうは数字に出ている。『デジタル大辞泉』の補説が載せる文化庁「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい」を選んだ人が平成14年度44.6%、18年度42.4%、24年度42.7%。対して「気配りや遠慮をしなくてはならない」を選んだ人は40.1%、48.2%、47.6%と推移し、平成18年度以降は本来と逆の意味で受け取る人のほうが多い。
用例
- “遠慮や気遣いが不要で、打ち解けられる間柄であること。一緒にいて気を遣わなくてよい、心から安心できる相手を指す肯定的な表現。「気が置けない友人」といえば、気心が知れた親しい友人という意味になる。ただし、「気を遣わせて申し訳ない」「なんとなく信用できない」などの否定的な意味で誤用される例が非常に多く、文化庁の調査では約半数が誤った意味で使っているとされる。誤解が生じやすいため、使う場面では文脈を補うか、言い換えを検討するのが無難。”
- “気が置けない友人とは、本音で話せる関係を指す。遠慮なく意見が言い合える、対等で安心できる間柄のことだ。”
- “彼女とは長い付き合いで、気が置けない間柄だ。”
- “あの人は気が置けないから、本音で話せる。”
- “誤用例:あの上司は気が置けないから、近づきたくない。(正しくは「気が抜けない」「気が許せない」)”
似た慣用句
対になる慣用句
英語表現
Easy to be around; not needing to stand on ceremony. A close friend with whom one can relax and be oneself.
使う場面
参考文献
このページで確認した資料
意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。
- コトバンク「気が置けない」 — デジタル大辞泉の語釈と、補説が載せる文化庁「国語に関する世論調査」の割合(本来の意味とされる「気配りや遠慮をしなくてよい」が平成14年度44.6%・18年度42.4%・24年度42.7%、本来の意味ではない「しなくてはならない」が40.1%・48.2%・47.6%)の確認
- コトバンク「気を置く」 — 精選版 日本国語大辞典の語義①「相手の気持を気づかう。遠慮する」〔詞葉新雅(1792)〕と初出実例『青春』(1905〜06年)、語義②「気を休める。ほっとする」と洒落本『雑文穿袋』(1779年)という語義ごとの対応の確認
- コトバンク「気の置けない」 — 精選版 日本国語大辞典の語釈と田山花袋『時は過ぎゆく』(1916年)の用例の確認。この形に江戸期の用例が載らないことの確認
編集の基本参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年
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