言葉辞典
慣用句

水に流す

みずにながす

慣用句の意味

過去のいざこざや恨みをなかったことにすること。許すこと。

言葉の成り立ち

水に流して清めるという日本の禊(みそぎ)の考えに由来。清浄な水で穢れを洗い流すイメージ。

用例

  • 過去のことは水に流して、新しい関係を築こう。

似た慣用句

許す帳消しにする

英語表現

To let bygones be bygones

使う場面

許し和解人間関係

参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年

関連する慣用句

慣用句

水を差す

みずをさす

うまくいっている物事や盛り上がっている雰囲気を邪魔すること。

故事成語

覆水盆に返らず

ふくすいぼんにかえらず

器からこぼれた水は二度とその器に戻せないように、一度起きてしまったことはどれほど悔やんでも元の状態に戻すことができないということ。過去の失言・別れ・失敗・壊れた信頼関係など取り返しのつかない事態に対して用いられる。後悔への戒めとして機能するとともに、過去に縛られず前を向くことを促す含意も持つ表現である。

ことわざ

河童の川流れ

かっぱのかわながれ

水泳の達人とされる河童ですら川に流されることがあるように、どれほど熟練した名人や達人と呼ばれる人でも、油断や不注意によって思わぬ失敗を犯すことがある。得意分野であるほど慢心しやすく、その油断こそが失敗を招く。この表現は失敗に対する戒めとして使われるとともに、失敗した相手を責めずに慰める場面でも用いられる。

ことわざ

羹に懲りて膾を吹く

あつものにこりてなますをふく

一度の失敗に懲りて、必要以上に用心深くなること。

慣用句

歯に衣着せぬ

はにきぬきせぬ

相手への遠慮や気遣いをせず、思ったことをそのまま率直に言うこと。相手が聞いて不快に感じることも、ためらわずに直接言う様子を表す。率直さが美徳として機能する文脈では褒め言葉として使われ、無遠慮さや失礼さを指摘する文脈では否定的な意味合いを帯びる。日本文化特有の「建前と本音」の二重構造の中で、本音を包まずに直接言う行為を際立たせる表現でもある。

慣用句

口が滑る

くちがすべる

言うつもりのなかったことをうっかり言ってしまうこと。

慣用句

音を上げる

ねをあげる

苦しさに耐えきれず弱音を吐くこと。降参すること。

ことわざ

言わぬが花

いわぬがはな

すべてを言葉にして伝えるよりも、あえて口にしない方が奥ゆかしさや趣があり、相手への配慮にもなるということ。知っていても言わない、感じていても表に出さない——その沈黙の中にこそ言葉を超えた余韻と品格があるという日本的な感覚を表す。能楽の「秘すれば花なり」の美意識にも通じる表現で、情報の全開示が必ずしも最善ではないという含意も持つ。

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