捕らぬ狸の皮算用
とらぬたぬきのかわざんよう
ことわざの意味
まだ手に入れていないものを当てにして計画を立てること。確実でない利益をあてにして、あれこれ皮算用をする行為のこと。まだ得ていない結果を前提にして喜んだり計画を進めたりする、根拠のない楽観的な行為を批判的に表す。英語の「孵化する前にひよこを数えるな(Don't count your chickens before they hatch)」に対応する。

言葉の由来
まだ捕らえていない狸の皮を売ったつもりで儲けを数える、という筋立ての言葉である。狸の皮は蹈鞴(たたら)や鞴(ふいご)に、毛は筆などに使われ、かつては狸が捕れればかなりの金になったと『ことわざを知る辞典』は説明する。しかも狸は捕らえにくい。だからこそ、捕る前の計算が滑稽になる。成立の時期には、資料でたどれる筋道がある。幕末以前に用例が見当たらないことから、新村出は、古くからある「穴の貉(むじな)を値段する」を西洋風に言い換えたものだとする説を立てた。しかし同辞典は、明治前期のことわざ集『国民の品位』が口語形「取らん狸の皮算用」を収めていることを根拠に、幕末以前に西日本で口承されていたことはほぼ確実だとしている。書き留められなかっただけで、言葉自体はそれ以前から話されていたという見方である。文学の用例は里見弴『父親』(1920年)や若槻礼次郎『古風庵回顧録』(1950年)などに見える。「取らぬ狸の皮算用」とも書き、意味は変わらない。
使い方の例
- “まだ合格発表もないのに新生活の部屋を探しているなんて、捕らぬ狸の皮算用だ。”
- “契約もまだなのに社員の採用を始めるとは、典型的な捕らぬ狸の皮算用だろう。”
- “株で儲かったら旅行しようと計画を立てているが、捕らぬ狸の皮算用にならないよう注意が必要だ。”
- “彼の事業計画は数字だけは立派だが、資金調達の見通しが甘く、捕らぬ狸の皮算用と言われても仕方ない。”
- “試験の結果が出る前から就職先を絞り込んでいるのは、捕らぬ狸の皮算用というものだ。”
似たことわざ
対のことわざ
英語の表現
Don't count your chickens before they hatch; Counting unhatched chickens
使う場面
参考文献
このページで確認した資料
意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。
- コトバンク「取らぬ狸の皮算用」 — 狸の皮が蹈鞴・鞴に、毛が筆に使われたこと、新村出の説と、明治前期『国民の品位』の口語形から幕末以前に西日本で口承されていたとする『ことわざを知る辞典』の結論、里見弴・若槻礼次郎の用例の確認
- Weblio 辞書「皮算用」 — 「取らぬ狸の皮算用」に由来する語で、実現前の見込みで計画を立てる意であることの確認
編集の基本参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年
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