旅は道連れ世は情け
たびはみちづれよはなさけ
ことわざの意味
旅に同行者がいると心強いように、世の中もまた互いに助け合って生きていくべきだということ。「旅の道連れ」と「世の情け」を対句にした構造で、人と人のつながりが困難を乗り越える力になるという教えを示す。見知らぬ土地での旅と日常の社会生活を重ね、どちらの場面でも思いやりと相互扶助が不可欠だと説いている。転じて「人生という旅」の比喩としても広く用いられる。
言葉の由来
文献上の初出として辞書が挙げるのは、俳諧作法書『毛吹草』である。精選版日本国語大辞典はこの句に〔俳諧・毛吹草(1638)〕と注記する。『毛吹草』は松江重頼の編で、寛永15年(1638年)の序をもち正保2年(1645年)に刊行された七巻五冊の書物であり、当時の俚諺を多数収めた章を含む。初出年として1638年と1645年の二つを見かけるのは、成立年を取るか刊行年を取るかの違いにすぎない。 句そのものは「旅は道連れ」と「世は情け」の対句で、道中に同行者がいる心強さを、世を渡るうえでの互いの情けに重ねている。江戸時代の旅の危険や五人組の制度に由来を求める説明も流布しているが、そこまで踏み込んだ由来を示す辞書は確認できなかった。確かなのは、17世紀前半にはすでにこの形で書き留められていたという一点である。
使い方の例
- “転勤先で一人で抱え込まず同僚に声をかけてみたら快く手伝ってくれた。旅は道連れ世は情けとはよく言ったものだ。”
- “山田洋次監督の映画「男はつらいよ」の寅さんのように、見知らぬ旅先で深い縁を結ぶことがある。旅は道連れ世は情けだと思う。”
- “「困ったときはお互いさま、旅は道連れ世は情けだから何でも相談して」と先輩が声をかけてくれた。”
- “新しい職場で孤立気味だったが、旅は道連れ世は情けで小さな親切を積み重ねるうちに輪が広がっていった。”
- “結婚式のスピーチで「旅は道連れ世は情けというように、お二人で支え合いながら歩んでいってください」と伝えた。”
似たことわざ
対のことわざ
英語の表現
A good companion shortens the longest road.
使う場面
参考文献
このページで確認した資料
意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。
- コトバンク「旅は道連れ世は情け」 — 精選版がこの句の文献に〔俳諧・毛吹草(1638)〕と注記すること、大辞泉が道連れの心強さと世を渡る情けを重ねる語義を示すことの確認。五街道・五人組など時代背景に由来を求める記述はどちらにも無い
- コトバンク「毛吹草」 — 松江重頼の俳諧作法書で、精選版が「寛永一五年(一六三八)序、正保二年(一六四五)刊」とすること、日本大百科全書が巻2の「世話」704章が俚諺資料として著名と記すことの確認(初出年が1638年と1645年で揺れる理由)
編集の基本参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年
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