朱に交われば赤くなる
しゅにまじわればあかくなる
故事成語の意味
人は交わる相手や環境によって善にも悪にも変わるということ。悪い仲間や環境に染まってしまうことを戒める言葉。
故事の由来
中国の荀子『勧学篇』の「白砂在涅、与之倶黒(白い砂も黒い泥の中に入れば黒くなる)」という言葉が日本に伝わり、朱(赤い染料)で染まるという表現に変化したとされる。孟母三遷の教えにも通じる、環境の重要性を説いた言葉。
用例
- “朱に交われば赤くなるというから、付き合う友人を選ぶことが大切だ。”
- “悪い職場環境にいれば、朱に交われば赤くなるで価値観まで変わる。”
- “朱に交われば赤くなるを恐れて、あえて困難な環境に身を置いた。”
類義の故事成語
対義の故事成語
英語訳
One takes on the color of one's company; evil communications corrupt good manners
使うシーン
参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年
関連する故事成語
青は藍より出でて藍より青し
あおはあいよりいでてあいよりあおし
弟子が師匠を超えること。後から育ったものが元のものを凌ぐことを指す。
以心伝心
いしんでんしん
言葉や文字を使わなくても、互いの心が自然に通じ合うこと。禅宗で言語や文字を超えて師匠の悟りが弟子の心に直接伝わることを表した語が日常語に転じた。深い信頼関係や長い付き合いの中で言葉を交わさなくても意思疎通できる状態を表す。特に長年連れ添ったパートナー、同じ道を歩んできた師弟、幼馴染など、積み重ねられた時間が生み出す深い相互理解を表す際に使われることが多い。
言わぬが花
いわぬがはな
すべてを言葉にして伝えるよりも、あえて口にしない方が奥ゆかしさや趣があり、相手への配慮にもなるということ。知っていても言わない、感じていても表に出さない——その沈黙の中にこそ言葉を超えた余韻と品格があるという日本的な感覚を表す。能楽の「秘すれば花なり」の美意識にも通じる表現で、情報の全開示が必ずしも最善ではないという含意も持つ。
切磋琢磨
せっさたくま
仲間や同志と互いに刺激を与え合い、競い合いながら学問・技術・人格を高め合うこと。「切磋」は骨や象牙を切り磨くこと、「琢磨」は玉や石を削り磨くことを意味し、地道な研鑽を経てこそ輝きが生まれるという含意を持つ。一人で黙々と努力するよりも優れた仲間と互いに高め合う過程に豊かさがあるという思想を体現した言葉である。
刎頸の交わり
ふんけいのまじわり
首を刎ねられても後悔しないほどの、深く固い友情のこと。命を捨てても惜しくないほどの親密な交友関係を指す。
朝三暮四
ちょうさんぼし
目先の違いにこだわって、結果が同じであることに気づかないこと。また、言葉巧みに人を騙すこと。
覆水盆に返らず
ふくすいぼんにかえらず
器からこぼれた水は二度とその器に戻せないように、一度起きてしまったことはどれほど悔やんでも元の状態に戻すことができないということ。過去の失言・別れ・失敗・壊れた信頼関係など取り返しのつかない事態に対して用いられる。後悔への戒めとして機能するとともに、過去に縛られず前を向くことを促す含意も持つ表現である。
呉越同舟
ごえつどうしゅう
仲の悪い者同士が、同じ場所や境遇に置かれること。また、利害が一致すれば敵同士も協力し合うことを指す。