光陰矢の如し
こういんやのごとし
ことわざの意味
月日の過ぎるのが、飛ぶ矢のように速いということ。年月が流れていく速さをいうたとえである。辞典が載せる用例も、谷崎潤一郎の「すぎ去ってみればなるほどそうでござりますけれども」、斎藤茂吉の「私は五十になり、六十になり」のように、過ぎ去った年月を振り返る場面のものばかりで、一日の予定が立て込んだ慌ただしさに使った例は見えない。デジタル大辞泉はこの句の類語に「歳月人を待たず」「時は人を待たず」を並べている。
言葉の由来
「光陰」の「光」は日、「陰」は月を指し、合わせて月日・年月を意味する(精選版日本国語大辞典)。その月日を飛ぶ矢にたとえた言い方である。小学館『故事成語を知る辞典』は、一〇世紀ごろ以降の中国の詩文によく出てくる表現だとし、北宋の文人蘇軾の詩に「光陰箭のごとし」の一節があることを挙げる。特定の一篇を唯一の出典とする資料は見当たらず、漢詩文で繰り返し使われた言い回しが日本へ入ったと見るのが穏当である。日本語としての古い例は、精選版日本国語大辞典が挙げる『曾我物語』(南北朝頃)の「くゎうゐん矢のごとし」で、遅くとも中世には定着していたことがわかる。英語の Time flies. も同じ発想で、小学館『ことわざを知る辞典』はこれを対応する表現として掲げる。
使い方の例
- “もう一年が経った。光陰矢の如しだ。”
似たことわざ
英語の表現
Time flies like an arrow.
使う場面
参考文献
このページで確認した資料
意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。
- コトバンク「光陰矢の如し」 — 故事成語を知る辞典が由来を「一〇世紀ごろ以降、中国の詩や文章によく出て来る表現」とし北宋・蘇軾の詩の「光陰箭のごとし」を例に挙げること、精選版が『曾我物語』(南北朝頃)を初出例に挙げること、ことわざを知る辞典が英語 Time flies. を対応表現に掲げること、使用例が谷崎潤一郎『盲目物語』(1931)・斎藤茂吉『筆』(1949)のように過ぎ去った年月を振り返る場面であること、デジタル大辞泉の類語欄に「歳月人を待たず」「時は人を待たず」が並ぶことの確認。特定の一篇を唯一の出典とする記述はない
- コトバンク「光陰」 — デジタル大辞泉・精選版とも「光」は日、「陰」は月の意とし、月日・年月・時間を指すと記すことの確認
編集の基本参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年
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