蛍雪の功
けいせつのこう
故事成語の意味
苦労して勉学に励んだ努力や成果のこと。貧しい境遇の中でも懸命に学問をすることを指す。
故事の由来
中国の『晋書』車胤・孫康伝に由来する。晋の車胤は貧しくて油が買えず、夏は蛍を集めてその光で書物を読んだ。孫康は冬、雪明りで書物を読んで勉強した。二人ともその後立身出世を遂げたという故事から、苦学して身を立てることを「蛍雪の功」と呼ぶようになった。
用例
- “蛍雪の功を積んで、念願の国家試験に合格した。”
- “両親の支援なく蛍雪の功で大学を卒業し、今は医師として活躍している。”
- “彼の成功は蛍雪の功の賜物だ。誰よりも努力してきた。”
類義の故事成語
対義の故事成語
英語訳
Achievement through hardship and diligent study
使うシーン
参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年
関連する故事成語
臥薪嘗胆
がしんしょうたん
目的を達成するために長い間苦労に耐えること。復讐や大きな目標のために艱難辛苦を自ら課し、志を忘れず耐え続ける状態を指す。単なる受動的な忍耐ではなく、強い目的意識を持ったうえでの意図的な苦難への向き合い方を表す。雌伏して機会を待ちながら、時機を見計らって果断に行動に出るという積極的な忍耐の姿勢をも含んでいる。
切磋琢磨
せっさたくま
仲間や同志と互いに刺激を与え合い、競い合いながら学問・技術・人格を高め合うこと。「切磋」は骨や象牙を切り磨くこと、「琢磨」は玉や石を削り磨くことを意味し、地道な研鑽を経てこそ輝きが生まれるという含意を持つ。一人で黙々と努力するよりも優れた仲間と互いに高め合う過程に豊かさがあるという思想を体現した言葉である。
韋編三絶
いへんさんぜつ
書物を繰り返し熱心に読むこと。何度も読み返すほど本への情熱が深いことを指す。
継続は力なり
けいぞくはちからなり
何事も根気強く続けることで、やがて大きな力や成果が生まれるということ。小さな努力も積み重なれば無視できない力になり、継続すること自体が能力を育てる。才能の有無にかかわらず、諦めずに続ける姿勢こそが実力の土台になるという意味を含む。大正時代の浄土宗僧侶・住岡夜晃の詩に由来するとされ、宗教的には人格形成と精進の意味合いも持つ。
一将功成りて万骨枯る
いっしょうこうなりてばんこつかる
一人の将軍が功績を立てる陰には、多くの兵士が命を落としているということ。栄光の裏には無数の犠牲があることを指す。
糟糠の妻
そうこうのつま
貧しく苦しい時代をともに過ごした妻のこと。夫が出世したり豊かになったりしたあとも、苦労を分かち合った妻への深い敬意と感謝の念を込めて使う言葉。「糟糠」とはもみがら(糟)と糠(ぬか)のことで、粗末な食事の象徴。どれほど状況が変わっても、苦難を共に生き抜いた妻を大切にすべきという教えを含む、中国後漢の故事に由来する表現。貧苦を共にした妻への義理と愛情の象徴として現代でも使われる。
蛇足
だそく
本来不要なのに余計な付け足しをすること。なくても一向に支障がないのに加えてしまった余分なもの、あるいはその行為を指す。文章・発言・工程設計など、蛇に足を描くことでかえって完成度や本来の価値を損なう場面に広く使われる。余分を削ることで本来の輝きが戻るという逆説的な教訓を示す言葉でもあり、補足に「蛇足ながら」と断る慣用表現としても広く定着している。
殷鑑遠からず
いんかんとおからず
他人の失敗は自分への戒めとなる。手本とすべき悪い前例は身近なところにあるということ。