言葉辞典
故事成語

殷鑑遠からず

いんかんとおからず

故事成語の意味

他人の失敗は自分への戒めとなる。手本とすべき悪い前例は身近なところにあるということ。

故事の由来

中国の『詩経』大雅・蕩篇に由来する。殷(商)王朝が夏王朝の滅亡を教訓にしなかったために自らも滅びたことを詠んだ詩から。「殷の鑑みは遠からず」とは、殷が反面教師にすべき例(鑑)は遠い昔ではなく、すぐ前の夏にあるという意味。身近な他者の失敗を教訓にすべきことを説く。

用例

  • “殷鑑遠からず、隣の会社の失敗から学ぼう。”
  • “殷鑑遠からずというように、前任者の失敗を繰り返してはならない。”
  • “歴史は繰り返す。殷鑑遠からず、過去の事例をよく研究すべきだ。”

類義の故事成語

他山の石前車の轍

対義の故事成語

歴史から学ばない

英語訳

Let the past be a warning; a bad example is close at hand

使うシーン

受験頻出スピーチ

参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年

関連する故事成語

故事成語

他山の石

たざんのいし

他の山から出た粗い石でも、玉を磨くのに役立つ。転じて、他人の誤った言行や失敗も、自分を磨く材料にできるという教え。磨かれるのは自分の側で、石にあたるのは他人の劣ったところだから、優れた人の言行を手本にする意味で使うのは誤りとされる。敬意を向けたい相手の仕事を「他山の石とします」と言えば、その人を粗い石に見立てたことになる。文化庁の調査でも、本来の意味で理解していた人は三割前後にとどまる。人の失敗から学ぶ「反面教師」に近い語だと置いて使うと、外しにくい。

ことわざ

君子危うきに近寄らず

くんしあやうきにちかよらず

教養のある立派な人は、危険なことに近づかないものだということ。

故事成語

覆水盆に返らず

ふくすいぼんにかえらず

器からこぼれた水は二度とその器に戻せないように、一度起きてしまったことはどれほど悔やんでも元の状態に戻すことができないということ。過去の失言・別れ・失敗・壊れた信頼関係など取り返しのつかない事態に対して用いられる。後悔への戒めとして機能するとともに、過去に縛られず前を向くことを促す含意も持つ表現である。

四字熟語

温故知新

おんこちしん

以前に学んだことをよく復習して新しい知識・見解を見出すこと。孔子が真の師たるべき資格として説いた言葉で、単なる知識の蓄積ではなく、過去の学びを現在の問いに照らし合わせることで新しい発見を得る知的姿勢を指す。現代では歴史や先人の知恵から現代的な解決策を見出す姿勢を表すのにも使われる。一方的な知識の蓄積でなく、問い直しと再解釈を重んじる。

四字熟語

盛者必衰

じょうしゃひっすい

「盛者必衰」は、勢いを得て栄えた人や一族にも、必ず衰える時が来るということ。勢いを失う経緯や原因より、かつての繁栄が永続しない道理に焦点を置く。「諸行無常」は人や物など一切のものが変化するという広い仏教の教えで、この語は盛んだった者の衰えを表す。物事全般の移り変わりを述べるなら「諸行無常」、栄華を誇った者の没落を言う場面なら「盛者必衰」が合う。

故事成語

隗より始めよ

かいよりはじめよ

何事も手近なところから始めよということ。改革や計画は、まず自分自身や身近なことから着手すべきという教え。

ことわざ

猿も木から落ちる

さるもきからおちる

その道に優れた者でも、時には失敗することがあるということ。木登りを本業とする猿でさえ木から落ちることがあるように、専門家・名人・熟練者でも例外なくミスをする。他者の失敗を責めない戒めとして使われるほか、ミスをした自分や身近な誰かを慰める言葉としても用いられる。完璧を過度に求めることへの戒めともなる。

ことわざ

口は災いの元

くちはわざわいのもと

不用意な発言や軽はずみな言葉が、本人にとって予期せぬ災難や困難を引き起こす原因となることがある。言葉はひとたび口から出ると取り消すことができないため、発言には十分な注意が必要であるという教訓。怒りや感情的な状態での言葉、機密の漏洩、場をわきまえない一言に対する戒めであり、SNS全盛の現代においてこの教訓はより一層重みを増している。

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