完璧
かんぺき
故事成語の意味
欠点や不足がまったくなく、すべてが整っていること。傷一つない完全な状態を指す。仕上がり・出来栄え・実力などが申し分ない状態に使われる。「完璧なプレゼン」「完璧に仕上がった」のように日常語として広く定着しているが、もとは中国の外交術にまつわる故事から転じた語で、「宝玉を完全な形で返す」という意味が起源にある。
故事の由来
中国の正史『史記』廉頗藺相如列伝に由来する。戦国時代(紀元前3世紀頃)、趙の国が所有する名宝「和氏の璧(かしのへき)」を秦の昭王が欲しがり、「十五城と交換する」と申し出た。強大な秦を無視することはできないが、渡してしまえば城を得られるかどうかわからない。苦慮した趙王に、宦者令の舎人だった藺相如(りんしょうじょ)が「私が宝玉を持って交渉してきましょう。もし秦王が十五城を渡さないならば、必ず璧を完全な形のまま趙に持ち帰ります(必ず璧を完璧にして趙に帰らん)」と申し出た。秦に赴いた藺相如は秦王が約束を守る気配がないと見抜き、「この璧には傷がある。見せてほしい」と偽って取り戻した。そして「私を殺せば、璧も壁(かべ)も共に砕けるでしょう」と脅し、使者を帰国させて璧を先に趙へ送り届けることに成功した。「完璧」は「璧(宝玉)を完全な形で返す(完しうして帰す)」という意味が転じて、完全無欠を指す一般語になった。
用例
- “今回のプレゼンは完璧だった。資料も話し方も申し分なかった。”
- “完璧な試合運びで、相手に得点を与えなかった。”
- “彼女の料理は見た目も味も完璧で、感動した。”
- “計画は完璧だったが、予期せぬ天候不順で中止になった。”
- “完璧を求めすぎると、かえって行動できなくなることがある。”
類義の故事成語
対義の故事成語
英語訳
Perfect; flawless; without any defects. Derived from the story of the diplomat Lian Xiangru returning the jade "He's Bi" intact to Zhao.
使うシーン
参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年
関連する故事成語
優柔不断
ゆうじゅうふだん
ぐずぐずとして決断力に欠けること。「優柔」は気が弱く柔らかい性格を、「不断」は決断できないことを指す。性格的な特徴として用いられることが多く、批判的なニュアンスを帯びる。重要な局面で決断を先延ばしにする傾向を表す言葉。リーダーや上司に用いると批判的なニュアンスが強くなるため、使う場面と相手関係には注意が必要。反省や自省の文脈でも「自分の優柔不断を克服する」という形で使われる。
一諾千金
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一度した約束は必ず守ること。一度の承諾が千金に値するほど重みがあることを指す。
蛇足
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切磋琢磨
せっさたくま
仲間や同志と互いに刺激を与え合い、競い合いながら学問・技術・人格を高め合うこと。「切磋」は骨や象牙を切り磨くこと、「琢磨」は玉や石を削り磨くことを意味し、地道な研鑽を経てこそ輝きが生まれるという含意を持つ。一人で黙々と努力するよりも優れた仲間と互いに高め合う過程に豊かさがあるという思想を体現した言葉である。
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いそいではことをしそんじる
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刎頸の交わり
ふんけいのまじわり
首を刎ねられても後悔しないほどの、深く固い友情のこと。命を捨てても惜しくないほどの親密な交友関係を指す。
三顧の礼
さんこのれい
優れた人材を招くために、目上の者が礼を尽くして何度も足を運ぶこと。また、そのような礼を受けた側が感激して誠心誠意仕える姿勢を指す場合もある。現代では主に、会社や組織が人材を熱心に迎え入れる際の礼遇を表す言葉として広く使われており、三国志の故事は時代を超えてリーダーシップと人材活用の手本となっている。
大器晩成
たいきばんせい
本当に大きな才能や人物は、早くに頭角を現すよりもじっくり時間をかけて大成するということ。老子の哲学に基づく言葉で、若いうちから目立たなくても将来的に大きく花開く可能性を示す。早熟な才能より時間をかけて育つ大きな器の価値を説く。「若い頃は目立たなくていい」という励ましの意味で使われることが多く、早期に結果を求める現代社会への静かな反論としての意味合いも持つ。