言葉辞典
故事成語

自縄自縛

じじょうじばく

故事成語の意味

自分の言葉や行動が原因となって、自分自身が苦しい立場や束縛された状態に陥ること。まるで自分で縄を縛って自分を動けなくしてしまうように、自ら招いた制約に苦しむ様を表す四字熟語。過去の発言・主張・ルールが後から自分の行動の自由を奪う状況を指し、政治・ビジネス・日常の言動全般に広く使われる。自業自得の中でも特に「言動が自分を縛る」という構図に焦点を当てた表現。

自縄自縛のイメージ

故事の由来

仏教の教義に由来するとされる四字熟語。「縄(じょう)」は縛りつけるもの、「縛(ばく)」は縛られた状態を意味する。自らが説いた教えや戒律の言葉によって自分自身が縛られてしまうという仏教的な比喩に由来し、禅宗の公案や戒律の解説にも「自縄自縛」の概念が用いられた。鎌倉仏教の時代から日本語に浸透したとされ、「縄で縛られた者が自ら縄を持つ」という逆説的な構造——縛る者と縛られる者が同一人物であること——が表現の核心にある。つまり「自分で縄を作り、その縄で自分を縛る」という自作自演の苦境を端的に示した言葉である。現代では、強硬な発言・細かすぎる自己ルール・嘘の連鎖などが後になって自分の行動の自由を奪う場面で広く使われる四字熟語として定着している。

用例

  • 「残業は絶対にしない」と宣言したが、締め切りが迫って自縄自縛に陥ってしまった。
  • 強硬な発言を繰り返した結果、交渉の余地をなくして自縄自縛の状態になった。
  • 細かすぎるルールを自分で作りすぎて、かえって仕事が進まない自縄自縛に悩んでいる。
  • 嘘をつき続けた結果、もはや収拾がつかず自縄自縛に陥っている。
  • 過去の発言が蒸し返されて自縄自縛となり、政策転換もままならない状況だ。

類義の故事成語

自業自得因果応報自分の首を絞める身から出た錆

対義の故事成語

自由自在縦横無尽柔軟に対応する

英語訳

Being hoist by one's own petard; To be trapped by one's own words or actions

使うシーン

受験頻出ビジネス日常会話

参考文献

  • 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
  • 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
  • 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年

関連する故事成語

ことわざ

自業自得

じごうじとく

自分のした悪い行いの報いを自分が受けること。身から出た錆。

ことわざ

身から出た錆

みからでたさび

自分の犯した悪行の結果として、自分自身が苦しむこと。

四字熟語

自由自在

じゆうじざい

思い通りに物事を操ること。何の制約もなく自在に振る舞えること。

四字熟語

自問自答

じもんじとう

自分で自分に問いかけ、自分で答えること。深く考えること。

故事成語

切磋琢磨

せっさたくま

仲間や同志と互いに刺激を与え合い、競い合いながら学問・技術・人格を高め合うこと。「切磋」は骨や象牙を切り磨くこと、「琢磨」は玉や石を削り磨くことを意味し、地道な研鑽を経てこそ輝きが生まれるという含意を持つ。一人で黙々と努力するよりも優れた仲間と互いに高め合う過程に豊かさがあるという思想を体現した言葉である。

慣用句

揚げ足を取る

あげあしをとる

相手の言葉の些細なミスや言い間違いをとらえて、意地悪く責めたり批判したりすること。議論や会話の本質ではなく、言葉のあら探しに終始する行為を指す。「揚げ足」とは相手が失敗の隙をさらした瞬間を指し、それを巧みに捕まえて攻め込む様子を表す慣用句。建設的な議論を阻む、批判的なコミュニケーションの典型として否定的に使われることが多い。

四字熟語

優柔不断

ゆうじゅうふだん

ぐずぐずとして決断力に欠けること。「優柔」は気が弱く柔らかい性格を、「不断」は決断できないことを指す。性格的な特徴として用いられることが多く、批判的なニュアンスを帯びる。重要な局面で決断を先延ばしにする傾向を表す言葉。リーダーや上司に用いると批判的なニュアンスが強くなるため、使う場面と相手関係には注意が必要。反省や自省の文脈でも「自分の優柔不断を克服する」という形で使われる。

四字熟語

不言実行

ふげんじっこう

言葉で言わずに黙って実行すること。日本の伝統的な美徳の一つで、口先だけで何も行動しない人間より、黙って実際に動く人間を評価する価値観を表す。武士道・禅の精神とも関連し、「有言実行」と対をなす言葉。不言実行とは対照的な「有言実行」と対で語られることが多く、日本の職人や武士が体現してきた「言葉より行動」という価値観の根幹を表している。現代でも口先だけの人物への批判文脈で頻用される。

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