逆鱗に触れる
げきりんにふれる
故事成語の意味
目上の人や権力者の激しい怒りを買うこと。君主や上位者の機嫌を大きく損ねることを指す。
故事の由来
中国の『韓非子』説難篇に由来する。龍は通常は人間が乗ることも近づくことも許す温和な生き物だが、喉の下に逆さに生えた鱗(逆鱗)が一枚あり、そこに触れると激怒して相手を殺すという伝説から。君主も同様で、触れてはいけない部分があり、そこを刺激すると激怒することを韓非子は説いた。
用例
- “上司の決定を公の場で批判して逆鱗に触れてしまった。”
- “不注意な一言が社長の逆鱗に触れ、左遷されることになった。”
- “クライアントの逆鱗に触れないよう、慎重に言葉を選んだ。”
類義の故事成語
対義の故事成語
英語訳
Incur someone's wrath; touch a raw nerve
使うシーン
参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年
関連する故事成語
虎に翼
とらにつばさ
もともと力のある者にさらに力が加わること。強いものがいっそう強くなること。
虎の威を借る狐
とらのいをかるきつね
権力者の威光を背景に威張ること。実力のない者が強い者の権威を借りて他者を威圧することを指す。
矛盾
むじゅん
二つの事柄が互いに食い違って、つじつまが合わないこと。論理的に両立しない主張や状況を指す。「矛盾している」「矛盾をはらむ」という形でもよく使われる。論理学では「ある命題とその否定が同時に成立しない」という意味を持つが、日常語では「辻褄が合わない」「前と言っていることが違う」という幅広い意味で使われる。
刎頸の交わり
ふんけいのまじわり
首を刎ねられても後悔しないほどの、深く固い友情のこと。命を捨てても惜しくないほどの親密な交友関係を指す。
虎穴に入らずんば虎子を得ず
こけつにいらずんばこじをえず
危険を冒さなければ大きな成果は得られないということ。
鼻を折る
はなをおる
得意になっている人や傲慢な人の自尊心を打ち砕き、高飛車な態度を矯正すること。驕り高ぶった者を一撃で謙虚にさせる行為を指す表現。「鼻」が自尊心・誇りの象徴であることから、その鼻を「折る」ことで相手の驕りや慢心を打ち砕くイメージ。英語の「to take someone down a peg or two(上から引きずりおろす)」に対応する。「鼻が高い」と対照的な関係にある慣用句。
鶏肋
けいろく
大して役に立たないが、捨てるには惜しいもののこと。やめるに惜しいが続けても大した成果が得られないことを指す。
画竜点睛
がりょうてんせい
物事を仕上げるための最後のひとつ、それがなければ全体が完成しないという決定的な仕上げの一手を指す。龍の絵に瞳を入れた途端に本物の龍が飛び去ったという中国の故事に由来する四字熟語。作品・文章・発表などにおいて全体を生き生きとさせる核心部分、あるいはそれを加える行為を言う。「画竜点睛を欠く」の形で、詰めが甘く完成に至らないことを指す用例も多い。