余裕綽々
よゆうしゃくしゃく
四字熟語の意味
ゆったりと落ち着きはらっているさま。あわてず焦らず、心にゆとりを保って物事に向き合う様子をいう。人の態度や話しぶり、物事を進めるときの様子に使われる。「泰然自若」と意味の重なる表現で、使い分けるなら「余裕」が持つゆとりの感じを添えたい場面に向く。両語に一律の境界があるわけではなく、文脈に応じて選ぶ。
由来・語源
『孟子』公孫丑下で、孟子は「我無官守,我無言責也,則吾進退豈不綽綽然有餘裕哉」と述べる。官職も発言の責任もない自分には、進退にゆとりがあるのではないか、という趣旨で、辞書はこの一句を典拠に挙げる。原文の語順は「綽綽然有餘裕」で、現在の見出し「余裕綽々」とは並びが異なる。現代の落ち着いた様子という語義と、原文が置かれた文脈を分けて説明する。
用例
- “会場の質問が途切れなくても、登壇者は余裕綽々と笑顔で答え続けた。”
- “新しい機材の操作を頼まれ、彼は余裕綽々に画面を切り替えて見せた。”
- “友人が集まった会で、彼女は余裕綽々と旅の話を始めた。”
- “相手の予想外の反論にも、交渉役は余裕綽々と資料を示して説明した。”
- “道に迷った観光客に声をかけられ、案内係は余裕綽々と地図を広げた。”
類義の四字熟語
英語訳
With room to spare; calm and unhurried.
使うシーン
参考文献
このページで確認した資料
意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。
- コトバンク「余裕綽綽」 — 大辞泉・日本国語大辞典・四字熟語を知る辞典の見出し、読み、意味、孟子の句と1924–25年の用例を確認
- 漢字ペディア「余裕綽々」 — 見出し・読み・語義・孟子典拠と繰り返し記号表記を確認
- Jitenon「余裕綽々」 — 四字熟語分類、読み、意味、異表記を確認
- 『孟子』公孫丑下(Wikisource) — 公孫丑下の該当原文、官職・諫言の責任と孟子の進退に関する文脈を確認
編集の基本参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 三省堂編修所 編『新明解四字熟語辞典 第二版』三省堂, 2020年
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関連する四字熟語
泰然自若
たいぜんじじゃく
物事に動じず、落ち着いているさま。とくに予想外の出来事や危険に直面しても、あわてず平常の判断を保つ様子をいう。声を荒らげず表情を変えないことだけでなく、状況を見て必要な対応を続ける場面にも使う。気にかけない、何もしないという意味ではなく、心や態度を乱さず対処する姿勢を表す。準備や時間にゆとりがある状態とは違い、心や態度が乱れない点に焦点がある。
優柔不断
ゆうじゅうふだん
ぐずぐずとして決断力に欠けること。「優柔」は気が弱く柔らかい性格を、「不断」は決断できないことを指す。性格的な特徴として用いられることが多く、批判的なニュアンスを帯びる。重要な局面で決断を先延ばしにする傾向を表す言葉。リーダーや上司に用いると批判的なニュアンスが強くなるため、使う場面と相手関係には注意が必要。反省や自省の文脈でも「自分の優柔不断を克服する」という形で使われる。
自由自在
じゆうじざい
思い通りに物事を操ること。何の制約もなく自在に振る舞えること。
至れり尽くせり
いたれりつくせり
相手への配慮が隅々まで行き届き、足りない点が見当たらないこと。宿泊、接待、案内、支援などを褒めるときに使う。品物や設備が多いだけでなく、受け手に必要なことが不足なく整っている、という評価を含む。この辞典での使い分けでは、気づきにくい要望まで満たす働きを強く言うなら「痒い所に手が届く」、説明や応対の親切さに焦点を置くなら「懇切丁寧」が近い。豪華さだけを理由に使うと、配慮という中心がぼやける。表記は「至れり尽くせり」であり、「至り尽くせり」ではない。
胸を撫で下ろす
むねをなでおろす
心配していたことが解決して安心すること。ほっとすること。危険や困難が去って、緊張がほぐれた瞬間の安堵感を表す。試験の合格、病気の快復、事故の回避など、心配事が無事に解決したときに使う表現。「胸をなでおろした」と過去形でよく使われる。危険が完全に去ったことを確認してから使う表現なので、まだ不安が残る状況には使わない。
温厚篤実
おんこうとくじつ
人当たりがおだやかで、まじめさと誠実さを備えた人柄。単に怒らない、優しいというだけではなく、長い関わりの中で信頼できる人物を敬意を込めて評する語である。静かな性格だが意思がない、という意味にはならない。自己紹介で一語だけ飾るより、推薦文や送別の言葉で、具体的な行いとともに「温厚篤実な人柄」と述べると自然である。気さくで社交的な印象なら「温和」、従順さをいうなら「温順」が近い。穏やかな対応と揺るがない誠実さの両方を伝えたいときに、この言葉が役立つ。
気が置けない
きがおけない
遠慮や気遣いが不要で、打ち解けられる間柄であること。一緒にいて気を遣わなくてよい、心から安心できる相手を指す肯定的な表現。「気が置けない友人」といえば、気心が知れた親しい友人という意味になる。ただし、「気を遣わせて申し訳ない」「なんとなく信用できない」などの否定的な意味で誤用される例が非常に多く、文化庁の調査では約半数が誤った意味で使っているとされる。誤解が生じやすいため、使う場面では文脈を補うか、言い換えを検討するのが無難。
縦横無尽
じゅうおうむじん
あらゆる方向に自由に動き回ること。思う存分に活躍すること。