言わずもがな
いわずもがな
慣用句の意味
「言わずもがな」は、言う必要がないほど明らかなこと。また、かえって口に出さないほうがよいことを指す。「彼の経験は言わずもがな」なら当然の前提として添えるが、「言わずもがなの一言」なら余計な発言の意味だ。「言うまでもない」は前者に限られ、「言わぬが花」は後者の沈黙をよしとする。迷ったら、文の後ろに「もちろん」が入るか、「言わなければよかった」が入るかで二つの用法を読み分ける。
言葉の成り立ち
「言わずもがな」は、「言う」の未然形「言わ」へ、打消しの「ず」と終助詞「もがな」が続いた連語だと辞書は分析する。「もがな」は願望を表す助詞で、古い用例にも言わないでいたい気持ちが表れる。現代の辞書は「言わないほうがよい」と「言うまでもなく」の二つを立てるので、後の意味だけに決めつけない。精選版は、前者の早い例を1841〜42年の『春色梅美婦禰』、後者を1898年の『忘れえぬ人々』に載せる。「言わずもがなのこと」は前者、「英語は言わずもがな」は後者。ここに示した成り立ちは辞書の文法説明と用例の範囲に限っている。精選版は「もが」が願望、「な」が感動を表す助詞と区分し、意味ごとの初出例を別に載せている。
用例
- “彼の仕事が正確なのは言わずもがな、記録の残し方も丁寧だ。”
- “安全確認は言わずもがな、出発前に人数も数え直そう。”
- “地元の店なら味のよさは言わずもがな、店主の人柄も親しまれている。”
- “本人の同意なく病状を職場に話すのは、言わずもがなのことだ。”
- “会議で退職の理由を話す必要はなく、あの一言は言わずもがなだった。”
英語表現
Needless to say; something better left unsaid.
使う場面
参考文献
このページで確認した資料
意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。
- コトバンク「言わずもがな」 — デジタル大辞泉の二義(言わないほうがよい/言うまでもなく)、読み、文法構成の確認
- イミダス「言わずもがな」 — 二義、用例、「がな」を願望の助詞とする説明を別辞典で確認
- コトバンク「言ずもがな」 — 精選版の「もが」「な」の助詞説明、二義別の用例・初出(1841–42年/1898年)を確認
- コトバンク「言わぬが花」 — 口に出さないほうが味わいもあり差し障りがないということわざの意味を比較用に確認
編集の基本参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 米川明彦・大谷伊都子 編『日本語慣用句辞典』東京堂出版, 2005年
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