登竜門
とうりゅうもん
故事成語の意味
ある分野で次の舞台へ進むための、よく知られた難関や入口のこと。難しい試験や選考であっても、通過後に活動の場や評価の機会が大きく開ける場合に「〜への登竜門」と言う。単に手続きが面倒、競争率が高いというだけの障害には使いにくい。たとえば新人賞が出版の機会につながる、代表選考が上の大会への道を開く、といった関係を表すのに向く。「登竜門とされる」「〜への登竜門」の形で、突破した人を過度に成功者扱いせず、これから挑戦する入口だと示せる。すでに専門家として認められた後の栄誉なら「到達点」や「勲章」のほうが近い。
故事の由来
『後漢書』の李膺伝には、名声の高い李膺に会うことを許された人を「登龍門」と呼んだという記述がある。中国哲学書電子化計画の本文にも、李膺に接遇された人を「登龍門」と名付けたと残る。李膺伝本文では名士に接する名誉を表し、そこに付く注は、急流の竜門を大きな魚が登れば竜になるという『三秦記』の伝承を引く。後に両方が結び付いて読まれ、現在の「将来の活躍へつながる難関」の意味が定着した。したがって、鯉が竜になる伝説を『後漢書』本文そのものが詳しく語る、と一続きに断定するより、本文の李膺の逸話と注に引用された魚の伝承が結び付いた語だと分けて読むのが正確である。日本語では、将来の活躍へつながる選抜の場を指す語として定着した。
用例
- “新人賞は、無名の作家にとって出版への登竜門の一つだ。”
- “この大会を多くの選手が代表入りへの登竜門と見ている。”
- “資格試験は、合格後に現場で経験を積むための登竜門になっている。”
- “オーディションを登竜門と呼ぶなら、通過後に活動の場が開けることまで示したい。”
- “難しいだけで将来の道が広がらない手続きは、登竜門とは言いにくい。”
類義の故事成語
対義の故事成語
英語訳
A demanding gateway that opens the way to future success.
使うシーン
参考文献
このページで確認した資料
意味・由来の記述は、次の資料を照合して編集しています。
- Chinese Text Project『後漢書』「党錮列伝・李膺伝」 — 李膺と「登龍門」の本文・注の確認
- コトバンク「登竜門」 — 現代語の難関・入口という用法の確認
用法を考える際に参照した読者の疑問
ここは言葉を選ぶ人の迷いを知るための資料で、語義そのものの根拠にはしていません。
- Yahoo!知恵袋「『登竜門』の語源を尋ねる質問」 — 故事と現代の「足がかり」の結び付きを確かめたい視点(語義の根拠にはしていません)
編集の基本参考文献
- 新村出 編『広辞苑 第七版』岩波書店, 2018年
- 松村明 編『大辞林 第四版』三省堂, 2019年
- 尚学図書 編『故事ことわざ辞典』小学館, 2012年
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